シリーズ<叫び>エピソード2「裏取引」〜第7話〜

2015-07-11 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,000 / 提供 : ヴィクトリカ・ゾエ・キレーヌ / タグ : 裏取引 連載小説 <叫び>


 

JESSIE

 

<第7話>

 

わたしは、典型的な自分に自信なさ過ぎの女の子だ。

 

小中高とずっと、スクールカーストの最下層に近いグループに属していた。初体験だって東京に出てきた19歳の時。みんなに遅れるまいと、やっとのことで果たしたくらいだ。相手も同じ気持ちだったのか、新観コンパで知り合ったその男の子とは2カ月くらい付き合った後、自然消滅。

 

要は、お互いとにかく“初めて”を経験したくて、ただそれだけでつきあっただけで、たいして好きじゃなかったんだと思う。

 

それ以降、恋愛経験は特になし。

 

そりゃ、ゼミの同級生に憧れたり、会社に入ってすぐ同じ部署に勤めていた先輩にドキドキしたり……なんてほのかな片思いはあったけど、どちらにもすごくキレイな彼女がいたし、とても手が届かない相手だった。

 

だから、手が届かないと思っていたイケメンがお客さんとして現れて、今までの人生でろくに言ってもらえなかった「可愛い」という言葉を連発されたらもう、たまらない。

 

か弱いハートも、あるのかないのかわからないプライドも、もろくも崩れ去ってしまう。

 

「ほら、やっぱり可愛い」

 

と、頬を撫でられても悪い気はしなかった。

 

わたしだって芽衣子さんや沙恵さんと同じ、自分の好みじゃない男に触られる嫌悪感は凄まじい。

 

でも、好みの人だったら——————?

 

エッチは、好きな人とするべきだって思ってた。それが当たり前の考えだとも。

 

ところが出張マッサージで働き始めて以来、その当たり前が覆され、しょっちゅう自分自身を裏切っている。

 

 

 

 



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