泡のように消えていく… 第一章〜Chii〜<第5話>

2014-11-17 20:00 配信 / 閲覧回数 : 959 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Chii 泡のように消えていく… 連載小説


 

JESSIE

 

<第5回>

 

「まぁ、入店を決めたら、それも研修で教えるよ。あと、ノースキンっていうのはコンドームを使わないこと。使ってる子もいるけど、うちで働いてる子の9割はノースキンでやってる。ピルは飲んだことある?」

 

「ないです」

 

「この近くにあるソープ嬢御用達の病院を紹介するから、働くことになったらそこへ行ってピルをもらってきて。あと、入店後の性病の検査もそこでしてもらうことになる。ここ、罰金の項目見てね」

 

ごついシルバーリングのはまった人さし指がプリントの<罰金>の文字を差す。

 

「毎月15日に病院で検査をしてきて、結果をフロントに提出してもらう。項目はエイズ、クラミジア、梅毒淋病、トリコモナスにヘルペス。もしこれが出せなかったら2万の罰金」

 

「2万も!!」

 

「事情があって1日や2日遅れる分には仕方ないけれど、悪質な場合はこの金額をもらうことにしている。それぐらい、大事なことなんだよ。病気があるまま接客したらお客さんに移っちゃうし、移したお客さんが他の女の子についたら、その子に移る可能性もある。そうやってお店の子全員に広まっていく」

 

「怖い……」

 

「うん、だから性病検査未提出は2万の罰金。罰金は他に遅刻早退、当日欠勤、無断欠勤、上がり時間をオーバーしたら5分以上で5000円。うちは店舗型で、みんなで個室を使うから、一人がプレイ時間をオーバーすると、他の女の子の仕事に影響が出ちゃうんだ」

 

ふむふむ頷きながら、正直、言われてることの6割は上手く呑み込めていなかった。

 

性病にしたって、エイズやクラミジアぐらいならわたしでも知っているけれど、トリコモナスとかヘルペスとかは初めて聞く。

 

エイズなんてドラマや小説の中だけの病気だと思ってたのに、そんなに簡単に移されちゃうもんなんだろうか……?

 

わたしは今どきの女子大生にしてはかなりオクテな部類で、そういう方面の知識が極端に少ない。渋谷当たりでミニスカートを翻して歩く女子高生のほうが、よっぽど詳しいはず。即尺即アナルも、お風呂に入るとか入らないかとかじゃなくて、そんな行動をとること自体が意味不明だ。

 

 

 

 

 




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