泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第4話>
<第4話>
テーブルに座ったまま、視線を泳がせておろおろしている知依ちゃんに、平気だよっと目で合図する。
「えへへ、ごめーん。でも許してー。気持ち良かったんだもーん」
「何それ? マジ信じらんない。客とセックスして、本気で感じて、あんな声出すとかありえないよ、演技ならまだしも。あんたみたいなキモい淫乱女がいるから、男たちが勘違いしまくるんじゃん。女はみんなエロい、風俗嬢はセックスが好きで好きでたまらないから仕事してるんだ、って。バカじゃないの。セックスなんて全然好きじゃねーよ。好きだとしてもお前にはどこ触られても感じねーよ。金が欲しいから仕方なく喘いでんだよって話」
キモい淫乱女とか、随分だ。
この人、この性格で今まで無事に生きてこられたのが不思議。
いや、わたしが特別嫌われてるだけか。なんで嫌われてるのか、わからないけれど。
いくらひどいことを言われたって、腹は立たない。だってわたしは今日も颯太くんのためにしっかり稼いで、大好きな颯太くんに尽くせて、これから家に帰って颯太くんに抱きしめてもらえるんだから。
嫌なことは、いいことをより深く味わうためのスパイスのようなもの。
「えー。雨音さんはここでセックスして、気持ち良くないのー?」
「良くないよ。金がもらえて嬉しいとか、仕事をしている充実感とかはあっても、性的な興奮なんかありえない。感じてるあんたが頭イカれてんじゃん」
「そうなんだー。ねぇねぇ、知依ちゃんはー?」
まさかここで自分に話題を振られるとは思わなかったのか、知依ちゃんの華奢な肩がまた、ぴくっとした。雨音さんの視線がそっちに移ったからかもしれない。
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