シリーズ<叫び>エピソード3「ヒモ」〜第13話〜

2015-08-03 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,130 / 提供 : ヴィクトリカ・ゾエ・キレーヌ / タグ : ヒモ 連載小説 <叫び>


 

JESSIE

 

<第13話>

 

そんなことをしなくちゃいけなくなったのは誰のせいだと思っとるんじゃボケェ!!!!

 

と、また危うくつかみ合いの喧嘩(否、あたしが加害者となった一方的DV)になりかけた末、話し合いに話し合いに話し合い(時にまた喧嘩、否DV)を重ね、家から通える範囲の風俗店を2人でネット検索しまくって、たどり着いたのが今働いている出張マッサージだった。

 

出張マッサージは、女の子はオールヌード、ヘルスサービスありの店も多くはなってきてはいるが、基本は『脱がない、舐めない、触らせない』の『3ない』ルールが存在している。あたしと啓太で決めた今の店もサービスはマッサージ中心、ちゃんと制服があってパンツをみせるのも禁止、お触りもリップサービスもなしで、最後はハンドサービスという、風俗店にしては大変サービスが軽く、良心的な店である。

 

もちろん、『脱がない、舐めない、触らせない』とはいえ、客はあのテこのテで『脱いでぇ、舐めてぇ、触らせてぇ』と要求してくるので、

 

「いい加減にしろ、このブ男。せめて鏡で自分の顔見てから言わんかぁ!!」

 

……とキレたいのをグッとこらえ、笑顔で、

 

 

「そんなこと言うと、触るのやめちゃいますよぉ。いいんですかぁ?」

 

なんて具合に上手にかわすのが仕事なんだけど。

 

 

マッサージと名はついていても、そんなのあくまで添え物で、メインディッシュではない。

 

啓太と2人、じっくり決めただけあって、今の店を選んで本当によかったと思う。

 

給料をごまかしたり女の子同士でトラブルになったり、ひどい店も多数存在しているのが風俗業界らしい。だけど、少なくともうちの店に限っては、スタッフはみんな真面目で贔屓したりしない。それに女の子も、ヘルスやソープ上がりはむしろ少数派で、あたしのようにある程度普通の仕事を経験してから業界入りしてくる風俗初心者が多いから、まともな社会人ばかりでトラブルもない。

 

 



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