Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第2話>
<第2話>
「じゃ、またね。やよいちゃん」
歳はたぶん三十四、五歳ってとこ。話によると奥さんとの間に二人、小学生と幼稚園の子どもがいるらしい。という、常連のお客さんとのプレイタイムが終わって、入り口まで送っていく。
お客さんの肩越しに、繁華街を通り過ぎていくカップルが見える。
たぶん、あたしと同じ、大学生ぐらい。あんまりこんな街が似合わなそうな二人組だった。男の子はすっきり痩せてて茶色い髪にふわふわのパーマをかけていて、女の子のほうはさおりさんみたいなむちむちの肉付きのいい身体をしていて、デニムのスカートから覗いた太ももがはちきれんばかりだ。ラブホが近くにあるからこの店の前をカップルが通ることは珍しくないのだけれど、反射的に顔がこわばってしまう。
むちむちの女の子がこっちを見た。日焼けした顔ににやっと笑みが浮かび、彼氏の肩をつついてこっちを指差す。ふわふわパーマの男の子が驚いたようにあたしを見る……。
「大丈夫? やよいちゃん」
休憩室に入るとまたまゆみさんに心配されてしまった。
本当に、自分でもなんでこんなに弱いのかと呆れる。風俗のバイトは誰にやらされてるんでもない、借金があって困ってるから始めたわけでもない、ちゃんと自分で決めてやってること。なのに、なんでこんなに重たい気持ちを抱えながら、あたしはここに来ているんだろう?
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