Kaya〜風俗嬢の恋 vol.5〜<第24話>

2014-03-03 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,205 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Kaya 連載小説 風俗嬢の恋


 

風嬢の恋

 

<第24回目>

 

「気持ちいい?」

「はい……」

 

気持ちいい。気持ち悪い。

 

身体と心が、別々の動きをしていることが、あそこが真っ白く痺れてることが、悔しくて、悲しくて仕方ない。

 

自己嫌悪一色に塗りつぶされた意識の向こうで、ベルトをほどく音がする。

 

まもなく、目の前にそそり立った赤紫色のペニスが突きつけられる。

 

「舐めて」

 

上ずった声で言われて、おしぼりでそっと拭ってから口に含む。ペニスは既に血管を浮き上がらせて限界近くまで膨らみ、先端に透明な涙をいっぱいに溜めていた。

 

「うあー、いい。やっぱ、まゆみちゃん最高。そうそう、その、カリらへん。あぁいい、もっと舌動かして、うーん」

 

1分も経たないうちにいってしまった。

 

最初は、手でするのも口でするのも下手過ぎて、射精させられずに終わっちゃったこともあったけれど、今ではそんな失態はほとんどない。

 

お客さんのほうも、たいがい、気合入れて溜めてきてるおかげで、早くて1分、遅くても3分あれば絶頂に導ける。

 

新人の頃、清美と一緒に、わあわあ騒ぎながら、バナナを使って練習した甲斐があった。

 

今、その光景を思い出すと、どこぞの深夜番組のコントみたいで笑っちゃうけれど、練習の成果はちゃんと実を結んでいる。

 

洗面所でシンクに精液を吐き出し、イソジンでうがいをした自分と、鏡の中で再会する。

 

23歳よりずっと、老けて見えた。

 

あたしはあと何回、精液を吐き出すんだろう? あと何回こんなことを繰り返すんだろう?

 

戻ってきて、タバコを吸っているお客さんの隣に座る。銘柄が、清美が禁煙前に吸ってたものと同じことに気付いて、胸の一部がチクンとする。

 

「いやー、いいね。やっぱりまゆみちゃん、最高だよ。僕、かなりいろんなとこ行ってるけどさ、まゆみちゃん以上の、いなかったし」

「こんなこと上手くても、なんにもなりませんから」

 

胸のチクンが、あたしを素直にしていた。

 

 

 

 




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