泡のように消えていく…第五章〜Sawa〜<第33話>
<第33回>
「まゆみです。よろしくお願いします」
長い髪を揺らして挨拶するまゆみさんは、大福みたいにふっくら柔らかそうな頬をした癒し系の美人で、顔も腕も脚もとにかく白い。
わたしはもうメンテなしには意地できないすべすべの肌は、この子には当たり前に得られるものなんだろう。
「沙和です、よろしくね。系列店から移ってきたらしいけど、今いくつなの?」
「23歳です」
「へぇ、若いのね。もっと大人に見えた、落ち着いてるから」
「最近よく老けてみられるんですよね。実際、オバサンだし」
そんな、23歳でオバサンなら37歳のわたしはどうなるのと言いたくなったけど、月並みな一言を飲み込んだ。
ピンサロは風俗の入口になりやすい業種だから、かなり若い子が働いてることもあるし、女の子の若さをウリにしている店も多い。うちの系列のピンサロなんて特にその傾向が強くて、たしか制服がセーラー服じゃなかったかな。
そういう店だったら、たしかに23歳は若いとは言えない。まゆみさんも長く勤めているうちにいつしか制服が似合わなくなって、肩たたきをされたのもしれない。
「23歳なら、まだまだ大丈夫よ。ソープって接客時間は長いし体力使うサービスが多いから、歳取ってくると厳しいけど、体力的に」
「沙和さん……でしたよね? そんな歳には見えないですが」
「若作りしてるから。もう37際なの」
「えー!!」
驚いた声を出すまゆみさんに思わず苦笑してしまう。
老けてみられたらやっぱり嫌だろうけど、お金の力で無理やり保っている若さである以上、若く見られても素直に喜べない。
「全然見えないですね。28、29歳とか、そのへんだと思ってました」
「あはは。よくそう言われる」
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