シリーズ＜叫び＞エピソード2「裏取引」

 ＜第１話＞

「美帆さんってさぁー、5000円でオールヌードなっちゃうんだって。んで、プラス1万でヤラせてんの。客から聞いた」

斜め後ろから、後部座席で缶ビール傾けつつ語る沙恵さんの声が聞こえてくる。

沙恵さんは待機中、いつもお酒を飲んでいる。最初に見た時はびっくりしたけど、店長や責任ある従業員の目がない、ただのアルバイトであるドライバーの車で待機するシステムの風俗店では、よく見られる光景らしい。

「えー、美帆さんが!?　いっがーい!!」

合いの手を打つのは沙恵さんと仲良しの芽衣子さん。色が白くて手足がすらっと長くて、No,1の柚季さんよりもNo,2の美帆さんよりもNo,3の真結さんよりも、もちろん風俗歴長くてスレた雰囲気丸出しの沙恵さんよりも、キレイだ。

もちろん、顔がいいからランキングに入れるってものでもない。

そもそも、この出張マッサージの店におけるランキングなんて、スタートラインがみんなバラバラなんだからかなり無意味だと思う。サービスはマッサージ中心、お触りも口を使ったサービスもNG、ランジェリー接客でオプションがついた時のみ上だけ脱ぐ、オールヌードはNG。

……とまぁ、一応ルールはあるんだけれど、実際は個人の裁量にお任せで店は完全、ノータッチ。むしろ、本番して客が呼べるなら大歓迎って感じ。

今、沙恵さんと芽衣子さんが話しているのはまさにそのこと。