私が『三代目・葵マリー』を名乗るようになったいきさつ<後編>
総勢200名近い人が集まった『三代目・葵マリー』の襲名式で……!?
結局、襲名式には、約70社から取材陣が訪れた上、200人近い人達が集まってくれて大賑わい。
そんな襲名式当日に、一人でハンズに行き、3万円もする新品のサバイバルナイフを購入。万引きした訳じゃないのに何故か凄くドキドキしながらレジに持って行ったのを覚えてる。
襲名式のショーは3部構成。SMショー、レズショー、店の女の子総勢8名によるカラー大浣腸ショー。
勿論、全てのショーに私は出演し、女の子のリードを取る。
私の狙いはレズショー。ここで、あのサバイバルナイフを使う! と心に決めて、ショーが始まる前に、「道具のチェック」と言いながら、道具の間にナイフを隠した。
襲名式の幕が開き、ショーが始まる。そして、いよいよレズショーの演目に……。私は、レズショーの最後に買ってきたばかりのサバイバルナイフで手の平を切り付け、相手のM女の顔に生の血を塗り付けようと企んでいた。
「私が生の血を流す事で、【襲名】っぽくなれば良いな♪」
と、そんな気持ちだけだった。
そろそろレズショーの終盤に差し掛かる。いよいよだと思うと、「心臓が口から飛び出そうってこうゆう事ね!!」って気分。
「絶対に失敗は出来ない」「切り損ねたら、それこそ恥になる」「ただ、深く切っても大事だし……」とか色々な考えが頭の中をグルグルしたよね。
いざ、サバイバルナイフを持ち、片手でシャキーン!! そして、切ってみたら!?
そしてサバイバルナイフを持ち、あのテレビの様にカッコ良く“シャッキーン!”と片手で出す。
その手を大きく振り上げて、左手の手の平にナイフを当て、上から下に引く。
成功! 切れた! と思った瞬間!! ……左手が急に冷たくなり、血が出た。
出た、なんてもんじゃなくて大出血だった。
止めどなく流血し、周りが響めく。
でも、ここでショーを続けるのも、止めるのも、そう、私次第だ。当然、そのまま続行する。
M女の顔に血を塗り付け、生の血に怖がってるM女に熱いキスをする。ここでレズショーは終了。
舞台裏に戻ったら大騒ぎ。「早く、止血を!!」「大至急病院へ」と様々な声が飛び交う。
でもね、これだけの観衆を集めといて、勝手な事をして、「怪我したので、すいません。帰って下さい」は出来ないじゃない?
そのままグルグルに包帯を巻いて止血し、次のカラー浣腸ショーへ出撃。
そりゃね、痛いのよ。ジンジンするし。まるで、左手に心臓があるみたいだった。
しかも、浣腸だから包帯はビチョビチョになるし、血が滲んで来るし。それにしても、ばい菌が入らなくて良かったよね、と他人事の様に思う。
生涯【三代目・葵マリー】だから、この傷を見て、自らに叱咤激励しています!
やっとショーの全てが終わり、最後の挨拶をして無事に終焉。
終った瞬間に駆け付けてくれたのが、今は亡き明智先生(※)だった。(※編集部注……明智伝鬼:緊縛師。日本で緊縛を広めたSM界の重鎮。美しい緊縛で、アートとしても評価が高い)
血の量などから、どの程度重症であるか分かっていたのだろう。
「今直ぐ救急で病院へ行きなさい!」と怒られた。
まだ場内には人が一杯残っていて、スタッフ達は皆さんの対応をしている。そんな中、私は一人でこっそり救急病院へ。
結果、11針縫いました。病院の先生からは、「後1センチずれてたら神経切ってましたよ」と恐ろしい言葉を頂戴しました。
これが三代目になるまでの経緯。
よく「印籠とか渡されるんですか?」と聞かれるけど、そんなもんがないから、自らの手で襲名へのケリを付けたんだよね。
これで堂々と【三代目】と名乗れる自信もついた。
たまに仕事で自信がなくなったり、不安になったりする時、今でもしっかりと残る左の手の平の傷を見て、「弱ってんじゃねーよ!」と自分に言い聞かせてます。
この傷は一生消えないでしょう。
だから、私も生涯、【三代目・葵マリー】でいたいと思います。
人気記事
JESSIEの最新NEWSはFacebookページが便利です。JESSIEのFacebookページでは、最新記事やイベントのお知らせなど、JESSIEをもっと楽しめる情報を毎日配信しています。