AV女優＋AV男優＝夫婦、こうして恋がはじまった……。＜中編＞

 

台本を渡されて、目に入ってきたのは“ピエール剣”の文字!!

 

さてさて、そんなこんなで撮影の予定は二転三転し、当日の朝がやってきました。集合は、お約束の“新宿のスバルビル前”。

 

朝のこのビルの前は、AVやらTVやら映画関係やら……。とにかくロケ車で溢れかえっているんです。

 

プロデューサーさんは、メーカー面接で会っていたんですが、監督はここで初めてのご挨拶。台本も当日の朝、もらいます。そして、車に乗り込んで、車中で顔とヘアスタイルをメイクさんに作ってもらいながら、台本を開きます。

 

そう、ここで初めて「今日、自分がどんなセリフをしゃべるのか？」「どこで誰と何をするのか？」が分かるのです。

 

AVって、ほとんどがこの撮影のようにぶっつけ本番に近いんですヨ♪

 

脱線したところで、台本です。

 

「今回の男優さん、誰かなー？」

 

やっぱり正直、1番気になるところです。

 

……と、知っている文字が目に入ってきます。

 

「えっ？　ピエール剣!?　まあ、久し振りなんだけど、またかい！」

 

そんなことを内心つぶやいてしまいます（笑）。

 

今までの現場で、特に何も問題なければ、そんなことは思わないんだけど、ピエールさんとの現場って、毎度毎度何かしらありましたから……。

 

お野菜を挿入されて嫌な気持ちになったり、役にのめり込みすぎて過呼吸症候群の発作を起こすというアクシデントがあったり……。そのため、つい「げっ!!」という気持ちにさせられました。

 

「仕事とはいえ、この人と不倫設定かぁ～」とモヤモヤ思うと同時に、「あっ、でもまずは前回の現場で迷惑掛けたこと謝らねば!!」とプロとしての社交辞令もムクムク。

 

なんてったって、途中撮影がバラシになってしまったし、救急車や警察も来たりした大騒動だったのでネ。

 

そこで挨拶と同時に、謝りましたヨ。

 

「すみません、大分前のことだけど……。『アイエナジー』の○○監督の時に、途中倒れて、撮影が中途半端になってしまって、申し訳ありませんでした」って。

 

そうしたらね、「あー！　あんときのね!!　現場、凄い大変だったよね。でも、今日はラブラブ設定だから楽しんで行こうね！」ってニッコリ言われました。

 

付き合った後に聞いてみたら、「大概、女優のことは忘れちゃうけど、さすがにあの日はオオゴトになりすぎて、しっかり覚えてたよ」と。

 

出会いの山芋挿入撮影のときは、「完全に覚えてない」って言われたけどね（笑）。

 

 

イヤーな男優、ピエール剣の印象が少しずつ変わり始めた不倫旅1日目

 

さて、メイクが終わり、衣装に着替えて、スタッフさんたちとはここでお別れ。彼らはロケ車で現地へ向かいます。

 

そして、私とピエールさんと監督の3人が、電車で不倫旅に出掛けます。

 

 

新宿駅で待ち合わせのシーンを撮り、いざ特急へ。

 

カメラがまわってない時は、監督も交えて雑談。この電車内の会話が凄く楽しくて、今までの“いやーなピエールさん”の印象が徐々に変わっていったんです。

 

電車班もロケ車も現地の駅につき、今度はデート編を撮っていきます。

 

撮影中、ところどころピエールさんと2人きりになるときがあります。そんな時、ふと、ピエールさんがこんなことを言いました。

 

「やっぱりセックスっていうのはさ、こういう過程があるから気持ちいいんだよね。突然会って、『はい、しましょう』なんて気持ちいいわけないじゃん！　特に前みたいなレイプもんとかさーっ」と。

 

「ああ、やっぱり男優さんもそう思うんだな。この人も、人の子なのね」なんてしみじみ思った熱海の海岸でした。（笑）

 

 

Writer 剣　愛璃沙

 

 

 

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