爆笑の風俗処女嬢デビューの金額は?<中編>
店長からの依頼は「入店したばかりの女の子を演じてくれ!」
店長の指示どおり、清楚系のファッションでいそいそと出勤した私。
その頃の私と言えば、丁度、ダークサイド界デビュー10周年ぐらいでベテランの自覚が湧いてきた時だった。
……にも関わらず、店長はこうのたまったのだ。
「本日入店の女の子の設定で頼んます。的確な接客、よろしくお願いします! 今日は、チェンジなしで対応だから」
ななな、なんだ!? 私に猿芝居しろって?
私にとってはまさかの依頼だった。振り返れば、我が店の採用基準が「ホテトル経験者じゃないとダメ」って面接で言われ、
「AVもデリヘルも経験者で、ピルも飲んでますし、そこをなんとか!」って採用してもらったくらいの店なのに、皮肉な話だ。
若い子ばかりのデルヘルと違い、DCは25~35歳でSEXに小慣れている構成員で運営されているお店が多い。そのため、良く言えば『世慣れている』、悪く言えば『擦れている』率がかなり高い。
そんな業種にも関わらずのオーダーだけに、店長の読みは、お客さんは風俗そのものを使い慣れていない人間だろうと推測している。
「素人風企画女優の力が必要なんです」と目をギラギラさせる店長の期待を裏切ることは出来ないので、気は進まないが出動する。
ただし、普通ならシティホテルE・Tホテルだと往復2千円取る車代を、「運転手のコには悪いが、往復歩いて行くんで私にちょーだい!」。お金の問題だけでなく、私なりの考えで進めることに。
ギャラの話は最後のオチと共にお話するので、お楽しみに!!
シティホテルで待ち受けていたのはうさんくさいビジネスマン
さて、9cmヒールで歩いて行くホテルまでの道のりは正直しんどい。だが、芝居ではない必死さが演出しやすいので、あえて徒歩を選んだのだ。少し息を切らしながら、ホテルの客室のチャイムを鳴らす。
ドアが開くと、とにかく恐る恐る深くお辞儀。ゆっくり頭を上げると、相手の容姿は『糞真面目そうな熱血エリートサラリーマンだが、訳が多く隠れエロ』という空気漂う、やや細めのメガネ掛けたビジネスマン。
出張というよりは、このために、わざわざ部屋を取ったっぽい。なぜなら、パッとみた限り、大きな荷物やトランクはなかったからだ。
私の脳裏で、「うわー、しゃら臭えー、ウゼーっ」って思った第一打。
いきなり出されたのは、花束。
『君に…』だそうだ。
おい、初対面の風俗嬢に向かってなんだ! って感じ。
でも、まあ、その花頂いて、プラス芝居ネタにも頂きましょう。花を力強く握り締めながら、
「ま、まさか、このような物を頂けるなんて予想していなかったから……。どうしましょう」
おろおろしやすいシュチュエーションから、“初めてで一生懸命任務を遂行しなければお店から怒られてしまうオーラ”を出す。
「言い出し難いんですけど、問題ないようであれば、お客様からお代を貰って下さいという指示を受けましたもので、すいませんっ!」
速やかに福沢君を両手で受け取りさっとカバンにしまう。
ここからが接客の本番スタート。頭に思い描いてきた脚本どおりに、私は演じきることができるのか? ……と、<次回>に続く。
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