初めての出張ホスト体験<その6>
バーで約束してしまったカメラマンM氏との逢瀬をキャンセルするはずが……
切ない結末だなあ、とため息を付くが、もう1つ後始末しなくてはいけない事があったじゃないか!! それは、カメラマンM氏との約束をご破算にしなくては!! ということだ。重い腰を上げ、M氏に電話し、
「H氏の出張ホストの客の松本晶と申しますが、あの電話の後いろいろと面倒が起こり、彼とは2度と会いません。その彼の紹介の貴方とお会いするわけにはいきませんので、お約束を取消にしていただけないでしょうか?」
と願い出た。すると、返ってきた返答は予想外のもの……!?
「トラブルは大体察しが付きました。でも、アイツがわざわざ電話してきて紹介したいなんていう女はきっと只者じゃないだろうから、アイツとは関係なく貴女とお会いしたい。いいかな? 約束はそのままで……」
おいおい、なんだか変な展開になってきたぞー。
私はただ男買いをしようとしただけなのに!! つくづく出張ホストというものはドラマに直結するくらい新しい物語が望んでなくても始まってしまう。M氏と会うまでに、
「彼は一体どういう人だったのだろうか」ということを自分の頭の中で交通整理して、M氏が知りうる範囲で事情聴取してやろう。金曜日の19時に西新宿での待ち合わせに向けて、そのくらいにしか考えていなかった。
結果的に良い買い物になった初自腹の出張ホスト
当日、待ち合わせ場所にいたのは、細身でいかにもカメラマンらしい風貌の人物。彼に連れられて入った店は高層ビルの眺めの良い洋風居酒屋だった。H氏との関係性を尋ねると、
「スワップ仲間だね。同じスワップバーの常連で知り合ってから古いよ。アイツが出張ホスト始める前から知ってる。仲間内では、たいしたSEXしないのによく出張ホストなんかになったなーってもっぱらの評判だよ。男優としても、まあ、使い物にならないしねー」
唐突に驚くような発言だった。M氏はかなり幅広い仕事をこなしてきたカメラマンのようで、CM写真や写真集も手掛ければ、文筆業も、AV監督もこなす強者で、これこそが運命的な出会いだった。
物腰穏やかで、酒はほとんど飲まず、眼鏡の奥の瞳は澄んでいる。私よりも17歳程で年上だが、気持ちが若く20歳そこそこの彼女がいるらしい。彼女は居ても博愛主義者らしく、首都圏スワップ業界の重鎮で、今後のスワップ関係の取材は全て彼のおかげでこぎつけた。
話の着地点にミラクル級の奇跡が起きたので、総括すると、この買い物は良い買い物だったんだろう。
「こんな不思議なドラマを買えるなら」と思ったのがきっかけで、自腹出張ホスト購入を続けるのであるから。
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