シリーズ<叫び>エピソード2「裏取引」〜第7話〜
<第7話>
わたしは、典型的な自分に自信なさ過ぎの女の子だ。
小中高とずっと、スクールカーストの最下層に近いグループに属していた。初体験だって東京に出てきた19歳の時。みんなに遅れるまいと、やっとのことで果たしたくらいだ。相手も同じ気持ちだったのか、新観コンパで知り合ったその男の子とは2カ月くらい付き合った後、自然消滅。
要は、お互いとにかく“初めて”を経験したくて、ただそれだけでつきあっただけで、たいして好きじゃなかったんだと思う。
それ以降、恋愛経験は特になし。
そりゃ、ゼミの同級生に憧れたり、会社に入ってすぐ同じ部署に勤めていた先輩にドキドキしたり……なんてほのかな片思いはあったけど、どちらにもすごくキレイな彼女がいたし、とても手が届かない相手だった。
だから、手が届かないと思っていたイケメンがお客さんとして現れて、今までの人生でろくに言ってもらえなかった「可愛い」という言葉を連発されたらもう、たまらない。
か弱いハートも、あるのかないのかわからないプライドも、もろくも崩れ去ってしまう。
「ほら、やっぱり可愛い」
と、頬を撫でられても悪い気はしなかった。
わたしだって芽衣子さんや沙恵さんと同じ、自分の好みじゃない男に触られる嫌悪感は凄まじい。
でも、好みの人だったら——————?
エッチは、好きな人とするべきだって思ってた。それが当たり前の考えだとも。
ところが出張マッサージで働き始めて以来、その当たり前が覆され、しょっちゅう自分自身を裏切っている。
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