Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第7話>

2014-01-04 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,104 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Yuuna 連載小説 風俗嬢の恋


 

JESSIE

 

<第7話>

 

「こーんにちはっ」

 

眩しい人の代表のような声が、背中でした。

 

振り返って、絶望的な気分になった。あたしやみんなにいつも声をかけてくる、あのティッシュ配りの男の子。

 

反射的に、無視しようとした。顔を逸らして俯き、足を思いきり速く動かすと、彼はもっと速いスピードであたしの隣に回りこみ、顔を覗き込んでくる。

 

「いつも夜までいるのに、なんで今日はそんなに早いの」

 

「ちょっと体調崩しただけです」

 

わざとそっけなく答えた。話しかけてなんかきてほしくない。あなたと話すことなんかない。どうせあなたは、風俗嬢という人種を面白がってるだけなんでしょう?

 

しかしあたしの無言の抵抗はまったく伝わってないらしく、カラッと軽い声が返ってくる。

 

「そっか。生理?」

「違います」

 

無視するつもりだったのに、顔を上げて思いきり睨みつけてしまった。

 

まったく、なんて人だろう。こんなセクハラ発言、平気でするなんて。

 

どの女の子にもこんなことを言うの? それともあたしが風俗嬢だから、生理の話ぐらい恥ずかしくもなんともないだろうってこと?

 

「冗談、冗談。そんな怖い顔しないでよ」

 

ケラケラ笑う彼はほんとに能天気でなんにも考えてなさそうで、そんな笑顔を見てたらあきれてしまって、更に文句を言う気がなくなった。きっとこの人は何も考えていないんだ。

 

「大体、なんであたしがいつも夜までいるとか、そんなこと知ってるんですか」

「君のこと、よく見てたもん。やよいちゃんでしょ?」

 

 

 




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