Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第7話>
<第7話>
「こーんにちはっ」
眩しい人の代表のような声が、背中でした。
振り返って、絶望的な気分になった。あたしやみんなにいつも声をかけてくる、あのティッシュ配りの男の子。
反射的に、無視しようとした。顔を逸らして俯き、足を思いきり速く動かすと、彼はもっと速いスピードであたしの隣に回りこみ、顔を覗き込んでくる。
「いつも夜までいるのに、なんで今日はそんなに早いの」
「ちょっと体調崩しただけです」
わざとそっけなく答えた。話しかけてなんかきてほしくない。あなたと話すことなんかない。どうせあなたは、風俗嬢という人種を面白がってるだけなんでしょう?
しかしあたしの無言の抵抗はまったく伝わってないらしく、カラッと軽い声が返ってくる。
「そっか。生理?」
「違います」
無視するつもりだったのに、顔を上げて思いきり睨みつけてしまった。
まったく、なんて人だろう。こんなセクハラ発言、平気でするなんて。
どの女の子にもこんなことを言うの? それともあたしが風俗嬢だから、生理の話ぐらい恥ずかしくもなんともないだろうってこと?
「冗談、冗談。そんな怖い顔しないでよ」
ケラケラ笑う彼はほんとに能天気でなんにも考えてなさそうで、そんな笑顔を見てたらあきれてしまって、更に文句を言う気がなくなった。きっとこの人は何も考えていないんだ。
「大体、なんであたしがいつも夜までいるとか、そんなこと知ってるんですか」
「君のこと、よく見てたもん。やよいちゃんでしょ?」
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