Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第11話>

2014-01-08 20:00 配信 / 閲覧回数 : 928 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Yuuna 連載小説 風俗嬢の恋


 

JESSIE

 

<第11話>

 

視界いっぱいに赤い色を映しながら、今なら言える気がしていた。

 

「五百万円、欲しいんです」

「え?」

「あたしが、この仕事してる理由」

「……五百万円!? 何それ!! 借金でもあるの?」

「違います。あたし、整形したいんです」

 

正義くんが本当に驚いたように目をぱちくりさせた。整形、って言葉を初めて聞いた人の反応みたいだった。

 

だいぶ長い時間が経ってから、ひとつひとつ噛み締めるようにゆっくり言う。

「五百万円の整形って。どことどこ、するつもりなの?」

「まずは目。そして鼻。それから頬の脂肪吸引でしょ、お腹の脂肪吸引でしょ、胸も大きくして……」

「全身じゃん」

「全身です」

「てかさ、脂肪吸引って、おかしいっしょ。そんなに痩せてんのに。それ以上脂肪取ったらガリガリのガイコツだよ。むしろ気味悪いよ。逆にもっと太ったほうがいいくらいだし」

「高校の時」

 

軽く俯いて、小さく唾を飲んだ。

 

あれから二年以上も経ったはずなのに、今でも過去になっていない。

この話をする時、あたしの胸は今も痛みに震える。

 

「高校の時初体験した彼氏、あたしはすごい好きだったんだけど、彼は罰ゲームだったんです。友だちとウノしててその罰ゲームで、あたしと付き合ったって」

 

 

 




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