Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第11話>
<第11話>
視界いっぱいに赤い色を映しながら、今なら言える気がしていた。
「五百万円、欲しいんです」
「え?」
「あたしが、この仕事してる理由」
「……五百万円!? 何それ!! 借金でもあるの?」
「違います。あたし、整形したいんです」
正義くんが本当に驚いたように目をぱちくりさせた。整形、って言葉を初めて聞いた人の反応みたいだった。
だいぶ長い時間が経ってから、ひとつひとつ噛み締めるようにゆっくり言う。
「五百万円の整形って。どことどこ、するつもりなの?」
「まずは目。そして鼻。それから頬の脂肪吸引でしょ、お腹の脂肪吸引でしょ、胸も大きくして……」
「全身じゃん」
「全身です」
「てかさ、脂肪吸引って、おかしいっしょ。そんなに痩せてんのに。それ以上脂肪取ったらガリガリのガイコツだよ。むしろ気味悪いよ。逆にもっと太ったほうがいいくらいだし」
「高校の時」
軽く俯いて、小さく唾を飲んだ。
あれから二年以上も経ったはずなのに、今でも過去になっていない。
この話をする時、あたしの胸は今も痛みに震える。
「高校の時初体験した彼氏、あたしはすごい好きだったんだけど、彼は罰ゲームだったんです。友だちとウノしててその罰ゲームで、あたしと付き合ったって」
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