Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第12話>
<第12話>
「……それ、なんで知ったわけ?」
「友だちが教えてくれました。こんな話してたよって」
「ほんとに? デマじゃなくて!?」
「本当です、ちゃんと自分で確認したから。ヘラヘラ笑いながら、そんなブサイクな顔で俺に好かれてるとでも思ってたの、なんて言われちゃいました」
「……最低だね、その男」
正義くんの声に怒りがこもった。
この人も本気で怒ることがあるんだなぁ、と当たり前のことを確認した。
「聞いてるだけで胸糞悪くなる。俺をキープにした彼女のほうが百倍マシ」
「いや、その子もかなりひどいですよ」
「そうかなぁ」
「そうです」
「でもさ、ともかく、その男のせいでやよいちゃんは、自分に自信が持てなくなっちゃったってわけっしょ?」
「たぶん、そのせいです。だから上京したのをきっかけに、整形しようって思った。大学のうちにお金貯めて手術して、きれいになった状態で社会人になりたくて」
あたしだってちゃんと恋がしたいし、人を好きになりたい。
高校の時の彼のことはもうこだわってないし、今ならひどい男だってきちんと憎むことが出来る。
でも、いざ彼氏を作ろうとしたらいつも上手くいかない。
コンパなんかでいいなと思う人に出会ってもうまくしゃべれないし、何も出来ないでいるうちにその人には彼女が出来てしまう。そうなってしまえばもうほんとに何も出来ないから、指を咥えて幸せそうな二人を見つめながらじっと、気持ちが冷めていくのを待つ。
そんなむなしい片思いを、大学に入ってから三回ほど繰り返した。
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