Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第14話>

2014-01-11 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,058 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Yuuna 連載小説 風俗嬢の恋


 

JESSIE

 

<第14話>

 

一週間で「最近どうしたの?」と四回も言われた。

 

いつもお店で顔を合わせるまゆみさんたちなんて、すぐにあたしの変化に気付いたらしい。

 

自分でも、変わったと思う。

 

どうせブサイクだし、ちょっとなんか塗ったところで誤魔化せるわけないと一度もやったことのなかった化粧を「女なんて服とメイクで変わるんだよ、頑張んなきゃ」と正義くんに強く言われて始めて、服も黒やグレーの地味なものばっかり着てたのを、夏らしいピンクやオレンジをたくさん買って、着た。

 

伸ばしかけの中途半端な長さだった髪は思いきってばっさり切って、明るい茶色に染めた。

 

よく恋をすると女の子は変わる、きれいになると言うけれど、それは自分を持ってない女の子が男の子に流されてるだけなんだと思ってた。

 

それは半分当たってて、半分違う。

 

あたしは自分の意思で正義くんに流されて、流されることによって新しい自分を手に入れようとしていた。

 

お盆休みは昼間っから店は大繁盛で、富樫さんも女の子たちも、みんなてんてこまいだ。会社は休みだけど何の予定もない、実家に帰りたくもない、だったら風俗でも、という男の人たちが世の中にはゴマンといるから。

 

プレイタイムを終えて休憩室に戻ってきてまもなく、休む暇もなく富樫さんから出勤を告げられる。

 

「やよいちゃん、三番ボックスね」

「ハイ」

 

おしぼりを用意しながら、これだけ忙しいと富樫さんに店を辞めたいと切り出すのは今日は無理かなぁ、と思う。

 

正義くんは何も言わないけれど店を辞めてほしいと思ってるのは確実だし、あたしもそうしたい。今はもう整形したいなんて思わないから、風俗嬢を続ける理由もなくなった。生活費を稼ぐため、普通のバイトをすれば十分だ。

 

とはいえ、風俗嬢でもどんなに嫌な仕事でも、仕事は仕事だ。しかも意に反して人気が出てしまっていれば、辞めようとしても辞めづらい。

 

富樫さんに「あと一ヶ月頑張って、あとちょっと」なんて引き止められないかと心配だった。

 

 

 

 




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