Yuuna〜風俗嬢の恋 vol.3〜<第18話>
<第18話>
早番なので、今日は七時で帰れる。
今日の稼ぎで膨らんだお財布を片手に、逃げるように店を出た。足早に繁華街を駆け抜け、携帯を取り出してメールを確認する。ようやく正義くんから返事が来ていた。
ホッとしたのもつかの間、メールを開いた途端、再び落胆が襲ってくる。
ごめん今日会えない、急にバイト入っちゃった。今度必ず埋め合わせするね』って、土下座している人の絵文字つき。
思わず、歩くスピードが緩まる。もたもたしているあたしの右横を、誰かが追い抜いていく。
大丈夫、正義くんはとってもいい男の子だ。
たしかに見た目や言動はちょっと軽そうだけれど、本当の正義くんは優しくて楽しくて、すごく気持ちのいい子で、嘘なんかついたりしない。あたしに嘘をついて女の子と遊んでるなんて、ありえない。第一、あたしを「好き」と言ってくれた正義くん、その言葉は本当に本当の気持ちから出たもののはずだ。
自分に言い聞かせ、ほうっておいたら膨らむばっかりの疑いを必死で押さえつける。
足は機械的に家路を目指す。バイトだったら仕方ない。仕方ないけれど、あたしと会うことよりバイトを取った、そして連絡をメールひとつで済まされてしまったこと、その事実がやっぱり苦しい。
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