Kaya〜風俗嬢の恋 vol.5〜<第4話>
<第4回目>
「にしても、この仕事、おいしいですよねー。ちょっと我慢さえすれば、お金もらえるんだもん。エンコーより安全だし」
「あやちゃん……、エンコー、してたの?」
目を見開くあたしに向かって、あやはにやりと笑った。18歳にして既に、堕落と放蕩がすっかり身に染み付いている人間の笑顔だった。
「してましたよ。まゆみさんは、したことないんですか? こんなとこで働いてるのに?」
「ないわよ。こんなところで働いてるからって、誰もがエンコーしたことあるわけじゃないし。むしろ、そういう経験ある子のほうが少ないんじゃないかな?」
「ふーん。にしても、女に生まれてよかったって思いますよねー。こんなに簡単にお金、稼げるんだもん。まともに働くの、バカバカしくなっちゃう」
そういい残して、「タバコ買ってきまーす」と外へ出て行く。
セーラー服を着た華奢な後姿は本物の女子高生にしか見えなくて、あんまりにも若くて細かったから、こう言ってやりたかった。
——こんなところ、早く逃げ出さなきゃいけない。あたしはもう無理だけど、あなたは間に合う。今ならすぐ、逃げ出せる。裏の世界は強力な闇を持っていて、闇はすごいスピードであなたを包み込み、真っ黒い泥の海に引きずりこんで、永遠にそこに封じ込めるから! ……と。
そうなる前に逃げ出さなきゃいけない。
そう、逃げ出さなきゃいけなかったんだ。
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