Kaya〜風俗嬢の恋 vol.5〜<第24話>
<第24回目>
「気持ちいい?」
「はい……」
気持ちいい。気持ち悪い。
身体と心が、別々の動きをしていることが、あそこが真っ白く痺れてることが、悔しくて、悲しくて仕方ない。
自己嫌悪一色に塗りつぶされた意識の向こうで、ベルトをほどく音がする。
まもなく、目の前にそそり立った赤紫色のペニスが突きつけられる。
「舐めて」
上ずった声で言われて、おしぼりでそっと拭ってから口に含む。ペニスは既に血管を浮き上がらせて限界近くまで膨らみ、先端に透明な涙をいっぱいに溜めていた。
「うあー、いい。やっぱ、まゆみちゃん最高。そうそう、その、カリらへん。あぁいい、もっと舌動かして、うーん」
1分も経たないうちにいってしまった。
最初は、手でするのも口でするのも下手過ぎて、射精させられずに終わっちゃったこともあったけれど、今ではそんな失態はほとんどない。
お客さんのほうも、たいがい、気合入れて溜めてきてるおかげで、早くて1分、遅くても3分あれば絶頂に導ける。
新人の頃、清美と一緒に、わあわあ騒ぎながら、バナナを使って練習した甲斐があった。
今、その光景を思い出すと、どこぞの深夜番組のコントみたいで笑っちゃうけれど、練習の成果はちゃんと実を結んでいる。
洗面所でシンクに精液を吐き出し、イソジンでうがいをした自分と、鏡の中で再会する。
23歳よりずっと、老けて見えた。
あたしはあと何回、精液を吐き出すんだろう? あと何回こんなことを繰り返すんだろう?
戻ってきて、タバコを吸っているお客さんの隣に座る。銘柄が、清美が禁煙前に吸ってたものと同じことに気付いて、胸の一部がチクンとする。
「いやー、いいね。やっぱりまゆみちゃん、最高だよ。僕、かなりいろんなとこ行ってるけどさ、まゆみちゃん以上の、いなかったし」
「こんなこと上手くても、なんにもなりませんから」
胸のチクンが、あたしを素直にしていた。
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