【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第5話>
<第5話>
「普通の」女の子だったら、脂が腐ったような臭いをぷんぷんさせた、醜く太ったお腹を突き出したおじさんに胸を揉まれたり、キスをされたり、あそこをいじられたりなんて、まず耐えられない。キモい、死ねって、顔を蹴り上げる女の子だっているかもしれない。
でもあたしにとってはくたびれた身体から立ち上る独特の臭いも、醜いお腹や黒々とした欲望を隠さないいやらしい笑い方も、既によく馴染んだものだった。大体あたしは、同じ年頃の若い男の子とセックスをしたことがない。男の人の身体は醜くていやらしいのが当たり前だ。
別にうまくなんかないと思うんだけど、たいていのお客さんはフェラチオであまり時間もかけず上りつめる。何しろ30分でことを済ませなきゃいけないんだから、風俗で遊び慣れてる人はそのへんのコントロールがうまいのかもしれない。
精子を口の中に溜めたままいったんボックス席を出て洗面所に入って吐き、うがい薬で口を洗う。
ついでに軽く身なりを整えるため出番待ちの女の子が休憩している畳二枚ぶんぐらいの休憩室に入ると、さおりさんとすれ違った。
あたしとは違う、胸がよく主張したぷっくりした丸い身体。プリーツスカートの下からよく日焼けした、むちむちの太ももが覗いている。
小さくお辞儀したら、睨まれた。ひじきみたいな睫毛の下の目があたしにむき出しの敵意を投げる。ぱさぱさに乾いた金髪がふわっと波打ち、早足でボックス席へ戻ってしまう。
休憩室の隅っこのパイプ椅子に座り、携帯をいじっていた裕未香があきれ顔で言った。
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