【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第6話>
<第6話>
「さおりさんも、大人気ないよね。あんなに露骨な態度取らなくたっていいのに」
さおりさんは三ヶ月前にあたしが入店するまでずっとナンバーワンだった、この店いちの古株だ。歳はたぶん22,3ってところ。本当の名前は知らない。
「しょうがないよ。あたしのせいだし」
「理寿は悪くないでしょう」
裕未香が語気を強める。ちなみに裕未香のここでの名前は「ゆか」。あたしと同じで、本名をちょこっといじっただけ。
「なんであたしなんかが人気あるのかな」
「そりゃ、人気出るよ。理寿は可愛いもん」
「可愛くなんかないよ」
「可愛いよ、その童顔、ちょっとおどおどした態度、アニメ声。全部がオヤジ共のロリコン趣味にベストマッチしてるんだよ」
「ついでに貧乳もね」
自虐ネタに顔を見合わせて、ちょっと笑った。
本当は自分でもちゃんと気づいてる。未だに中学生に間違えられる童顔や凹凸のない身体が嫌になることもあるけれど、おじさんたちはそれが好きなのだ。分かってて、いつのまにか武器にしていた。
金曜日の今日はお店は盛況で、指名が三本連続で入った。その後ようやく客足がまばらになって、休憩が取れた。
今夜出勤してる女の子は四人。あたしたちとさおりさんと、あとはまゆみさんっていう、さおりさんと仲のいい人。
二人がボックス席で接客している間、あたしと裕未香は休憩室でとりとめもないことをしゃべる。椅子がひとつしかないからあたしが座って、裕未香は床にべったりお尻をつけて煙草を吸っていた。
「理寿、なんか顔色悪くない?疲れてる?」
「疲れてるよ。さっきのお客さん、なかなかいかなかったから」
「そういうの一番困るよねぇ」
風俗嬢は楽してお金を稼ぐとんでもない人種だなんて思ってる人は、一度自分でやってみたらいいと思う。いかに自分を気に入ってもらえるか、次は指名してもらえるようにと気を遣いながらおしゃべりし、手と口を総動員して射精に導く。これはとても神経を使う肉体労働だ。
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