【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第8話>
<第8話>
富樫さんが長い身体を折り曲げるようにして、天井の低い休憩室の入り口をくぐった。
「りさちゃん、3番ボックスね。初めてのお客さん」
「はぁい」
「いってら〜」
裕未香に小さく手を振って、おしぼりを持って休憩室を出る。
ちょうど入り口でお客さんを見送っていたさおりさんが戻ってきたところで、さあ今から仕事をしようというあたしはまた睨まれた。あたしが来てから確実に、さおりさんがボックス席に入ってる時間は減った。
「はじめして、よろしくお願いします」
40代後半ぐらいの、グレーのスーツ姿のおじさんだった。痩せた身体に浅黒い顔、ぎょろっとした大きな目。
年齢こそ違うけれど、初体験の相手にちょっと雰囲気が似ている。
おじさんはぴったりくっついて座ったあたしに、すぐ手を伸ばそうとしない。ちょっと目を細めて、セーラー服を珍しいもののようにまじまじ見つめる。
「君がここのナンバーワンかい」
「はい」
「そうか。初めてだからどんな子がナンバーワンなのか、ちょっと見てみたいと思ってね」
こういうところに来る男の人には珍しく、見た目も中身もがつがつしてなくて紳士的で、いやらしいところをちっとも出さない。落ち着いたテンポで、ゆったりとしゃべる。
「君、いくつだい?」
「18歳です」
「すごく若いね。いつからこの仕事してるの?」
「上京してからだから、まだ三ヶ月くらいです」
「それでもうナンバーワンか。すごいね」
と、優しく肩を抱き寄せてくる。
皺の寄った筋張った手はあったかくて、触り方が優しい。胸を揉まれるのもあそこをまさぐられるのも舌で口の中をかき混ぜられるのも、エッチなことをしているっていうより、マッサージでも受けているみたい。ズボンのベルトをほどくのでサービスしなきゃとペニスに手を伸ばそうとすると、やわらかく断られた。
「いや、いいよ、見てて」
あんまり大きくない黒ずんだペニスを出して自分でしごきながら、片方の手であたしのAカップを触り続ける。二分もしないうちにいってしまった。終わってから、恥ずかしがるようにそそくさとトランクスとズボンを上げる。生臭い臭いがぷんとたちこめる。
あたしは小さな子どもがあやされるように、おじさんの膝の上に乗せられた。筋張った手はお腹のところにある。背中で感じる陽だまりみたいな体温が気持ちいい。
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