【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第9話>

2013-12-02 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,575 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Rizu 連載小説 風俗嬢の恋


<第9話>

 

Rizu

 

「さすが君は、ナンバーワンだね」

 

「あたし、何もしてないですよ」

 

「何もしなくたっていいんだよ。君となら誰だってまた、ここに来たいと思うはずだよ」

 

「嬉しいです」

 

ふふ、とおじさんが小さく身体を揺らして笑った。よく身体の相性がいいとか悪いとか言うけれど、たぶんあたしとこの人はとても相性がいいんだと思う。

 

お客さんは毎日たくさん来るけれど、誰とでもほっとして、心が癒されるようなプレイが出来るわけじゃない。男の人はすぐテクニックに固執するけれど、本当に女の子を気持ちよくさせるのは、花火のように一瞬で消えてしまう快感じゃなくて、あったかい心だ。

 

「ねぇ、どうしてこんなお店で働こうと思ったの?」

 

こんな質問を風俗嬢にするのはヤボもいいところで、遊びなれない若造ならともかく、いいトシをした人がこう聞くのはかなりナンセンスなのだけど、あたしは素直に答えた。

 

「裸の付き合い」を終えた人、そしてとても相性のいい人には、自然と心を開きたくなる。

 

「あたし、援交少女だったんです。田舎にいた頃」

 

「驚いたな」

 

おじさんの声が上ずった。

 

多くの大人は援助交際をするのは、ちょうど裕未香やさおりさんみたいな、髪を染めたギャルだけだと決め付けている。見た目にちっともすれたところのないあたしは、援助交際も風俗でのバイトも似合わない。自分でも思う。

 

「だからお金のためにこういうことするのってすごく普通なんです、あたしにとっては」

 

「どうしてそんなにお金が欲しいの?」

 

「お金は別に、欲しくないです」

 

 

 




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