【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第9話>
<第9話>
「さすが君は、ナンバーワンだね」
「あたし、何もしてないですよ」
「何もしなくたっていいんだよ。君となら誰だってまた、ここに来たいと思うはずだよ」
「嬉しいです」
ふふ、とおじさんが小さく身体を揺らして笑った。よく身体の相性がいいとか悪いとか言うけれど、たぶんあたしとこの人はとても相性がいいんだと思う。
お客さんは毎日たくさん来るけれど、誰とでもほっとして、心が癒されるようなプレイが出来るわけじゃない。男の人はすぐテクニックに固執するけれど、本当に女の子を気持ちよくさせるのは、花火のように一瞬で消えてしまう快感じゃなくて、あったかい心だ。
「ねぇ、どうしてこんなお店で働こうと思ったの?」
こんな質問を風俗嬢にするのはヤボもいいところで、遊びなれない若造ならともかく、いいトシをした人がこう聞くのはかなりナンセンスなのだけど、あたしは素直に答えた。
「裸の付き合い」を終えた人、そしてとても相性のいい人には、自然と心を開きたくなる。
「あたし、援交少女だったんです。田舎にいた頃」
「驚いたな」
おじさんの声が上ずった。
多くの大人は援助交際をするのは、ちょうど裕未香やさおりさんみたいな、髪を染めたギャルだけだと決め付けている。見た目にちっともすれたところのないあたしは、援助交際も風俗でのバイトも似合わない。自分でも思う。
「だからお金のためにこういうことするのってすごく普通なんです、あたしにとっては」
「どうしてそんなにお金が欲しいの?」
「お金は別に、欲しくないです」
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