【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第11話>
<第11話>
先生が他の女の子にも「性的いたずら」をして、被害に遭った女の子がお母さんに言って、事が発覚した。先生は他にもあたしを含め、三人の女の子に同じことをしていた。
先生はすぐに学校からいなくなって、お母さんとあたしは「将来に傷がつかないよう」、隣の、そのまた隣の町へ引っ越した。お母さんは泣きながら、
「ごめんね、理寿のこと守れなくて。本当に怖かったね」
って言って、お母さんは案外あたしのことをよくわかってないんだな、と気づいてちょっと悲しかった。
怖くもなんともなかったけど、先生がいなくなったことも、先生が他の女の子にもそういうことをしていたのも悲しくて、そんなことを言える相手が誰もいなかった。自分で先生を探そうとか、先生に会いに行こうとまでは思わなかった。新しい学校で、先生にいたずらされた女の子じゃなくてごく普通の小学生として過ごしている間に、小さな悲しみはすぐに消えた。
けれど大事なものを失った「喪失感」みたいなものは、いつまでも消えずに、心の奥に沈んでいつまでも残ってた。
大事なものって処女膜のことだろうか? それとも、純粋な子どもでいられる時代だろうか?
今でもわからない。
テニスを始めた中学の頃、顧問の先生とまた同じような関係になった。
「大会に出してほしかったらおとなしくしろ」
と脅されて、そんなことを言わないと、女の子の胸ひとつ触れない弱さ、みっともなさが、最初はすごく嫌だった。
でも何度もそういうことをしているうちに、その人もすごく優しくなって、セックスのためだけに会うんじゃなくなった。秋に赤やオレンジに染まった山をドライブしたことも、うちじゃ絶対に食べられない目玉が飛び出すほどおいしいご飯を食べさせてもらったこともあった。二年半も続いた関係だけど、あたしが高校に進学して校内で顔を合わすことがなくなってからは、自然と疎遠になった。
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