【連載小説】Rizu〜風俗嬢の恋〜<第13話>
<第12話より・・・>
あたしがお母さんの好きな人を取るようなことになっちゃったら、絶対いけないんだ。
お母さんに嫌われたらあたしはたぶん生きていけない。
<第13話>
そういうことを気がついたらすべてぺらぺらと話してしまって、しゃべり疲れて口を閉じた。
おじさんは黙っていて、ちょっと後悔した。
あんまり壮絶な、夜10時台のドラマみたいな現実に、ひいてしまったのかもしれない。
「たぶんあたし、すごいファザコンなんですよね。男の人を父親としか思えないみたいです」
「寂しい子だね」
おじさんは本当に悲しそうに言って、お腹の上にだらんと置いた両手をきゅっと握ってくれた。水分の少ない、乾いた手だった。
「わかりません。みんなすぐ寂しいって使うけれど、寂しいってほんとはそういうものじゃないと思うんです。うまく言えないけれど」
いつの頃からかは忘れたけど、うまく世界と繋がれていないような気がしていた。
薄いレースのカーテンを一枚隔てて、世界と向き合っている感じ。カーテンの向こうで援助交際をし、ピンサロで働いてるのは、本当はあたしじゃなくて別の誰かなんじゃないだろうか。誰か、があたしに代わって動いているだけで、本当のあたしはいつも身体の奥に押し込められている。そんな気持ち。
それを寂しいと表すなら、そうなのかもしれない。
おじさんが乾いた手であたしの頭を撫でた。髪の毛がツヤツヤだね、と褒めてくれた。
「名前、なんていうの?」
「りさです」
「そうじゃなくて、ほんとの名前」
風俗で働く女の子が何のために源氏名を使うのかわかってないわけじゃないだろうに、聞いてくる・・・・
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