ブーティー・ギャング・ストリッパーズ<第48話>
<第48回>
その動きごと、柾に抱かれた。
ふっと体が持ち上がり、暖かい体温で包まれる。
「俺も……ずっとこうしたかった……」
そう呟いた柾の顔はしかし、見えなかった。柊太郎の視界に入るのは逞しい肩だけだ。
抱きしめたのは表情を見られないようにするためかもしれなかった。
「でも、お前には手を出さないでいようと思った。情が移るのが怖かった」
柾は続ける。情が移ったらダンスの指導が甘くなるか……反対にその情を振り切ろうといっそう厳しくなるだろう。自分の性格から考えて、厳しくなるほうがあり得る話だ。そうなれば柊太郎はたぶん、つぶれるだろう。
「今まで逃げてきた連中と一緒にしないで下さい」
柾の胸の中で、柊太郎は毅然としてみせた。
「俺はたぶん、柾さんが考えているより強いです。体育会で何年も揉まれてきましたから、多少のことじゃつぶれません」
抱き返す腕に力をこめる。
しばし、無言の時が流れた。
「……言ったな」
ククっと柾の喉が鳴る。笑ったのだ。
「じゃあこれも……最初は痛くても我慢できるな?」
さっきよりも少しだけ硬くなったものが、柾本人の力で押し挿れられる。
「あぅっ……あ……それは、あの……もうちょっと優しく……」
「もうダメだ。優しくしてやる余裕がねぇ。今のは誘ったのと同じだぞ」
「はぁんっ!」
柊太郎は柾の肩にしがみつく。
自分では見えなかったが、柊太郎は柾を奥まですべて呑みこんだようだ。
柾は唇を柊太郎に強く押しあてた。開いた口から強靭な蛇のような舌が出てきて、柊太郎の口の中を征服しようとする。
「あぅ……ふ……」
柊太郎は受け止めるのが精一杯だった。口蓋、舌の根元、歯の付け根。ありとあらゆるところを柾の舌が辿り、それまでの柊太郎には想像もつかなかった、背徳感をともなった心地良さを教え込む。
「動かすぞ」
「……は……い」
痛みは先ほどまでではなくなっていた。柾も意図したわけではなかっただろうが、挿入されたまましばらくじっとしていたのが良かったようだ。
優しくしてやる余裕がないと言ったわりには、柾は最初のほうはゆっくり動いてくれた。
「う……あぁんっ……はぁっ……」
直腸の粘膜を亀頭でこすり上げられるのは、体じゅうに鳥肌が立つほどの快感だった。抜かれるときには熱くなった肉を感度ごと持っていかれるようだった。そのまま何もかも奪われるのかと陶然としていると、また激しい突き上げがやって来る。
「初めてでそんなに感じるなんて、末恐ろしいな」
柾は柊太郎の両足を抱えたまま、その片方の膝にキスをする。
「あっ!」
粘膜に比べればずっと感度は低そうな膝へのキスで感じてしまったのは、キスがねっとりと蕩けるようなものだったからだろう。その唇や舌の動きに、柊太郎は単なる自分への愛情だけではない、柾のダンスへの執着を感じ取る。
おそらく柾の膝が壊れていなかったら、こんなキスにはならなかったはずだ。
キスは柊太郎の考えを肯定するように、執拗に繰り返された。何度も何度も、慎重に、丁寧に印を刻むように。
「俺が踊れなくなっても、お前はいつまでも踊ってくれ」
柾が呟く。柊太郎の性感帯はその日、その瞬間から膝になった。
キスをしながらも、少しずつ柾の腰は早くなる。
「あっ……い……」
体の奥から押し寄せてくる絶頂の波の気配に気づいて、柊太郎は柾にしがみついた。結合部が激しい音を立てている。怖さもあったが、与えてもらえるのなら受け止めて、感じ尽くしたい。
息が絶え絶えになる。下半身に意識せずとも力が入る。体が上りつめていこうとしているのがわかる。
「おい……っ、そんなに締めつけるな」
「えっ、あ、そん……なこと……言われても……」
「あ、イク……お前の中に出すぞ……」
柾の眉間に皺が寄る。ぞくぞくする表情だ。その顔を柊太郎は薄目を開けてじっと見ていた。柾は柊太郎の中で果て、そのまま強く抱きしめてくれた。
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