泡のように消えていく…第四章~Sumire~<第20話>
<第20話>
「正直嫌だけど、園香が頑張るって言うなら俺は応援するよ。大丈夫、俺はそういう仕事に偏見とかないし。園香のこと、信じてるから」
止められることを期待してたのに、逆に励まされてしまって、やる、としか言えなかった。
「ごめんな、園香。お前にばっかり負担かけて」
キャバクラやデートクラブで働き出してから、ハルくんはセックスの最中に謝るようになった。
わたしの頭を抱きかかえ、すでに最深部に達しているのにさらに奥まで突こうというのか、必死に腰を動かしながら。
「俺は最低だな……。こんなに可愛い園香に、辛い思いさせて。俺のせいでさ」
「ううん、いいの……。わたし、ハルくんに好きって言ってもらえたら、それだけで幸せ」
ハルくんの華奢な背中に腕を回してしがみつき、激しい快感に痺れた意識で、愛しい人がくれた言葉を噛みしめる。
ほっそりした肩が震えている。声が上ずる。顔は見えないけれど、泣いているのだとわかる。
大丈夫だ。
ハルくんはわたしをちゃんと愛してくれている。愛のせいで苦しんでいる。
だからわたしは、その愛に応えなきゃいけない。
「ハルくん、謝らないで。わたしが好きでやってることだから。ハルくんと一緒にいるためなら、わたしはなんだってできるよ」
ごめん、ごめんな。それでもハルくんは繰り返し謝る。
いいの、いいのとわたしも繰り返す。
セックスの身も心もとろけるような快感は、愛し愛されることの喜びと辛さは、あまりにも生々しくて鋭い感覚で、生きている、という当たり前のことを実感させてくれる。
ハルくん自身がわたしの奥で弾けた。
ハルくん。ハルくん。園香。園香。
2人の唇から何度もこぼれ落ちる名前は混ざり合って、体の中心がひりひり熱くて、もう快感と苦痛の区別さえつかない。
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