Yumika〜風俗嬢の恋 vol.2〜<第10話>
<第10話>
「もしも……」
『あんたなのっ? 統哉と付き合ってるヤリマンって!!』
女からだったのは予想通りだけど、いきなりヤリマンだなんて言われたのは予想以上だった。
怒るより呆れてしまう。冷静さを失ってる相手に逆上してもむなしいだけだ。
統哉が浮気したのは六回、そのうち相手の女があたしに直接対決を挑んできたのは三回。こういう状況にも、いつのまにか慣れてしまってる自分がいる。
『最低だよね風俗嬢って、男のチンコ咥えて金もらってんでしょ、汚らしい。あんたみたいな汚い女に統哉を幸せに出来るとでも思ってんの?マジ統哉が可哀想だっつの。今すぐ別れなさいよ。あたし、あんたなんかに絶対負けない』
負けない? 何それ。負けるだの勝つだのってなんのことだろう?
あたしはあたしで、いつ本命と浮気相手のポジションがひっくり返らないかとヒヤヒヤして、向こうは向こうで冷静さがふっとぶほどキリキリして。どっちもどっちじゃん。
少なくとも統哉に愛されてる、統哉の本命だ、そんなふうに優越感を持ったことは一度もない。むしろ、感情をむき出しにして向かってくる彼女たちが、たまーにちょっとだけ羨ましくなる。
だって彼女らは、どこまでも自由だ。好きなだけ泣いて騒いで、気が済むまであたしをいじめたら、つき物が取れたように去っていく。
いくら統哉が好き、死ぬほど好きといっても、たかが知れてるのだ。見栄や執着を愛と勘違いしてるだけ。対してあたしは、統哉にも自分の気持ちにもかんじがらめにされて、身動きが取れない。
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