泡のように消えていく…第五章〜Sawa〜<第27話>
<第27話>
「あのすみれちゃんも、よくいるよねぇ。ネットであんなに書かれてたのに。普通辞めるよ」
「わたしも、強い子なんだなって思いました」
「でもあんな噂、本当なのかねぇ?」
「さぁ。本当でも嘘でも、すみれさんはすみれさんだから」
そろそろ、おしゃべりよりもサービスに集中してほしい頃。太もものマッサージをしつつ、お尻の割れ目を撫で上げる。うっとくぐもった喘ぎ声がして、個室の薄暗い照明に照らされたお尻がぷるんと揺れる。
ゆっくり胸をこすりつけ、耳や首筋にわざと音を立てるようにしてキスをする。6年もの付き合いがある常連さんだ、感じやすい部分はわかってる。高まるとどんな声を出してどんなふうに悶えるのかも。
ヒートアップした脇田さんの手がわたしの股間に伸びてくるのを、優しく押し返す。
「危ないですよ、動いちゃ。滑りますから」
風俗を始めた最初の頃よりはだいぶマシになったけれど、今でもお客さんに触られるのは正直苦手。自分の心と体になるべく負担をかけないで、お客さんの興奮度を上げる。それも技術のうちだ。
丁寧に体を仰向けに返し、腕にもお腹にもまんべんなく胸をこすりつけるうちに、脇田さん自身が太く固くふくらみ、先端から透明な涙を溢れさせる。わたしの体に当たるそれは焼きごてみたいに熱い。
「お願い、沙和ちゃんが、欲しい……」
懇願してくる脇田さんを何度か焦らした後、騎乗位で内部に迎え入れる。最初は好きでもない男の人を受け入れるのが、辛かった。性的な快感も仕事をしている充実感もなく、蜘蛛に捕まった蝶みたいに、一方的に味わわれる苦痛だけだった。ただ膣が伝える感覚のみに意識を集中させられるまで、どれだけ時間がかかったか。
脇田さんが喘ぐ。わたしはなめらかに腰を上下させ、締め付ける。1分もしないうちに、脇田さんは自分にかけた枷を外してしまう。
「イクよ、沙和ちゃん」
わたしであってわたしでない名前を呼びながら、腰を震わせ上り詰めていく。体の一番奥で波打つそれの動きをはっきりと感じ取り、脇田さんを受け止める。
わたしは決してこの人の恋人ではない。それでもわたしにできるやり方で、誠心誠意込めて、目の前の人を愛する。風俗で愛なんて、人に話したら笑われるだろうか。
でもこれは、わたしなりの愛だ。男女の間に存在する愛とは少し違うけれど、まぎれもなく本物の愛だ。
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