シリーズ<叫び> エピソード1「車待機」〜第4話〜
<第4話>
「お疲れ様でーす」
仕事から戻ってくると、後部座席には既に2人の女の子が乗っていたので助手席に押し込まれた。おそらくゆとり世代ど真ん中の、やる気なしオーラをしじゅう出しまくってるドライバーが声をかけてくる。
「京香さん、もう終了っスよね」
「はい」
「たぶん、この後入ってないんですぐ帰れると思いますよ」
最悪にキモい客とぬるいシャワーのおかげで少しアルコールの抜けた頭をシートに預け、あぁもうこれで今日は仕事しなくていいんだ、しかもオプションもついたから1万持って帰れるし、とホッとしていると、たちまち安堵で意識が朦朧としてきた。
ふにゃりくだけた脳みそに、後部座席の女の子たちの話し声が突入してくる。
たしか、ことみさんと千春さんだっけ。2人ともよくしゃべって、ウザいったらありゃしない。
「なんかもう、毎日毎日やんならないほんと? 世間では楽して稼いでるって思われてるけどうちら、全然楽じゃないし、むしろ毎日が苦行だしみたいなさ」
「ほんとそう! あたしなんてもうヤバイっすよ、アラサーだもん。いつまでもこんなこと続けてらんないしさぁ」
「アラサーって、え、いくつなの千春ちゃん?」
「27歳っス」
「ハァ全然じゃん!? うちなんてもう29歳、来月30歳なんだよ、やっばーい!!」
「えー、全然見えないじゃないっスかー!!」
あたしなんざ32歳だよ。しかもほぼ、見た目通りだよ。
…って言ってやったら、黙るかなこの人たち。
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