シリーズ「叫び」エピソード4 アンダー〜第14話〜
<第14回>
お母さんの時だって、後でニュースになったのは知ってるけど、結局事件は未解決のまま終わっちゃったんだから。
今回だって、平気に決まってる。なんにも怖くない。
コンクリートの照り返しがきついホテル街を汗だくだくになりながら、速足で駅を目指す。
途中、店の子たちを見つけた。うちの店は回転がいいから、いちいち待機室に戻らないで、駐車場の端っことかで固まって待機するんだ。アイスキャンディーでも舐めながら。
たぶん、みんなあたしと同い年ぐらいの、ほとんど口もきいたことのなかった子たち。
あたしと似たような境遇の子も、もしかしたらいたりしてね。
だって、単にお小遣い欲しさだけじゃ、ここまでヒドい店に来ないでしょ、普通。「アンダー」の世界だってピンキリで、もっと可愛いければもっとサービスが軽い店がいくらでも見つかる。JKリフレだの、JKお散歩だの。
さよなら。彼女たちの前を通り過ぎる時、口の中で呟いた。
今回のことで警察が来ちゃって、アンダーを大量に雇ってるのがバレて、お店がなくなったり、カンベツに送られちゃったりしたら、ごめんね。それだけは本当に、本当に、申し訳なく思うよ。
あたし? あたしはね、また、遠いどこかの街のどこかの店で、日銭を稼ぐ。
あそこまで自ら否定した、お母さんが歩いた道を、あたしもまた、歩く。
そしたらいつかは、お母さんの気持ち、わかるようになるかもしれないしね。
<了>
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