シリーズ「叫び」エピソード4 アンダー〜第14話〜

2015-09-17 20:00 配信 / 閲覧回数 : 14,514 / 提供 : ヴィクトリカ・ゾエ・キレーヌ / タグ : アンダー 連載小説 <叫び>


 

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<第14回>

 

お母さんの時だって、後でニュースになったのは知ってるけど、結局事件は未解決のまま終わっちゃったんだから。

 

今回だって、平気に決まってる。なんにも怖くない。

 

コンクリートの照り返しがきついホテル街を汗だくだくになりながら、速足で駅を目指す。

 

途中、店の子たちを見つけた。うちの店は回転がいいから、いちいち待機室に戻らないで、駐車場の端っことかで固まって待機するんだ。アイスキャンディーでも舐めながら。

 

たぶん、みんなあたしと同い年ぐらいの、ほとんど口もきいたことのなかった子たち。

 

あたしと似たような境遇の子も、もしかしたらいたりしてね。

 

だって、単にお小遣い欲しさだけじゃ、ここまでヒドい店に来ないでしょ、普通。「アンダー」の世界だってピンキリで、もっと可愛いければもっとサービスが軽い店がいくらでも見つかる。JKリフレだの、JKお散歩だの。

 

さよなら。彼女たちの前を通り過ぎる時、口の中で呟いた。

 

今回のことで警察が来ちゃって、アンダーを大量に雇ってるのがバレて、お店がなくなったり、カンベツに送られちゃったりしたら、ごめんね。それだけは本当に、本当に、申し訳なく思うよ。

 

あたし? あたしはね、また、遠いどこかの街のどこかの店で、日銭を稼ぐ。

 

あそこまで自ら否定した、お母さんが歩いた道を、あたしもまた、歩く。

 

そしたらいつかは、お母さんの気持ち、わかるようになるかもしれないしね。

 

<了>

 

 



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