Yumika〜風俗嬢の恋 vol.2〜<第17話>
<第17話>
小学校生活も後半にさしかかった頃、不良の中学生が近づいてきた。不良グループは自分と似たような環境で育った人たちが多かったから、居心地がとてもよかった。
初めて友だちが出来た。誘われるがまま、いろんなことをやった。
万引き、喧嘩、無免許バイクで暴走、シンナー、援助交際……。
悪事がたたり、中学時代の大半は施設で送ることになった。
気詰まりな施設の生活に耐え切れず、十五歳の時に友だちと抜け出した。援助交際で食いつなぎ、夜の街で知り合った男の家を転々と渡り歩いた。
繁華街でスカウトされたのをきっかけにホテトル嬢になったけど、そのホテトルも摘発に遭い、また施設に戻されるのが嫌で間一髪のところ逃げ出した。
その頃はもう十八になっていたから、キャバクラで働き始めた。
でも女同士のいがみ合いがひどい店で二ヶ月で辞めて、代わりにこの店に勤め始めたのが一年前。うちの店にもさおりさんがいるけれど、キャバの女の争いに比べれば可愛いものだ。
まだピンサロを始めたばっかりの頃、ホストの営業で統哉に声をかけられ、ほどなく恋人同士になった。
お金はあったけれど冷たい家庭で育ち、与えられなかった愛情を何人もの女と寝ることで埋めてきたという統哉は、互いに理解し合える相手だった。
初めて愛してるって思った、愛されてるって思った。
どんなにダメダメな二人でも。ぐだぐだな関係でも、いくらひどいことをされても、離れることなんて出来なかった。
足は機械的にあたしを運び、いつのまにかマンションのドアの前についていた。薄いチープなドアの向こうに、人の気配がある。気配どころかあえぎ声までする。あん、イイ、と女の声。
まさか統哉、嘘ついて仕事サボってAV鑑賞?
そんなわけあるか!!
鍵はかかってなくて、ノブを回すとあっさり開いた。薄く開けたドアの向こう、電気をつけっぱなしの部屋の中、ベッドの上で繋がってる統哉と知らない女が見えた。座位でかなりアグレッシブに腰を振り、パイプベッドがみしみしいっている。
唖然とするあたしと、女の尻を抱きかかえてる統哉と、目が合った。切れ長の目がぎょっと見開かれる。動きを止めた統哉を不思議に思ったのか、女がだるそうにこっちを向く。
「何やってんのよ……!!」
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