フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第1話>

2014-03-08 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,870 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Aimi フェイク・ラブ 連載小説


 

JESSIE

 

<第1話>

 

毎晩3000円でアソコとプライドを売っている。

 

私が勤める深夜デリヘル『ドリームガール』は、新宿を拠点に17時~翌朝5時まで営業していて、AFなしの60分で15000円の店。

 

ちなみに、そのうちバック、すなわち女の子の懐に入る額は10000円。

 

同じく60分でAFありだと20000円で、バックは13000円になる。

 

AFとはアナルファックの略、つまりお尻に挿入するっていうのが本来の意味だけど、うちの店では本番の隠語として使われている。法律上禁止されている本番行為、要はセックスを表すのがAFというわけ。

 

だから、私も含め、AF可の子は、ほんとはお尻の穴なんか使わない。本番をやっている。AFありとなしとでの、バックの違いは3000円。

 

つまり、私はたった3000円で男にヤラせる女だ。ヤラせる女になってしまった。

 

半年前までは自分が風俗嬢になるなんて想像もしてなかったのに。

 

「もっと腰振れよ、ブス」

 

「こんばんは」するなり私の顔を見て露骨に眉をひそめチェンジについて聞いてきて、チェンジ料がかかると言うと思いっきり不機嫌に「ま、いいや君で」なんて言ったこの客は今、AVに釘付けになりながらバックで私のアソコを貪っている。

 

年齢はたぶん20代の後半か30代の前半、いいトシなのに不良高校生みたいな清潔感のかけらもない金髪な上唇に刺さったピアスといい左腕でうねっている龍といい、とてもまともな人格を持っているようには見えないけれどその第一印象どおり、ほんとにまともな扱いをしてくれない。

 

おざなりな愛撫の後はローションをつけ、さっさと挿入。最初は頼りない固さだったペニスはAVの効果かローションの効果か、次第に硬さを増してくる。

 

オナホール搭載のしゃべるダッチワイフになった気分で全然気持ち良くなんかないけど、仕事だからとりあえず喘いでみる。

 

「お前、喘ぎ声までブスなんだなーマジ冷めるんだよ」とか言いながら乱暴に私の髪の毛を掴み、リモコンに手を伸ばしてボリュームを上げる客。AVがあんあんあんあんうるさい。

 

ひどいことを言われひどいことをされてるのに、悪いのはこの客じゃなくてブスの私なんだって納得していた。

 

私がもっと可愛かったらもっと優しく扱われていたし、もっとこの人を悦ばせることができていた。私は穴さえあればなんでもいいっていう男のためのできそこないのダッチワイフ。

 

「あーやべーイクッ」

 

客は私の腰を握りながらアソコの中でぴくぴく果てると、すぐに冷静になってペニスを引き抜き、無言のままティッシュボックスに手を伸ばす。

 

3000円で売ったプライドはズタボロにされた挙句ティッシュに丸めてゴミ箱に放られる。

 

 

 




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