フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第16話>

2014-04-25 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,046 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Nanako フェイク・ラブ 連載小説


 

JESSIE

 

<16回目>

 

仕事上のセックスは仕事と割り切っている。

 

まったく濡れない日は、あらかじめ中にローションを仕込んでおくことも多い。

 

あたしはあくまで男の人たちにチヤホヤされ、お金をもらうことが好きなだけで、セックスそのものが好きなわけじゃない。

 

セックスが好きで好きでたまらなくて、誰とヤッても気持ち良くて、そんな淫乱な女が風俗で働いてるなんてのは、頭の中お花畑なアホ男のドリーム。

 

もしくは、大量のドラッグとか、尋常でないストレスとかに精神狂わせた女の場合だと思う。

 

るいさんみたいに、この仕事が嫌で嫌でどうしようもない子、そんな子の心が限界を超えて崩壊した時、まったく真逆の淫乱女に変貌することもあるんじゃないのかな。そんな風にも思う。

 

そういう考えのあたしでも、ヒラノさんには感じてた。

 

今まで経験してきたセックスの中で、一番、燃え盛ってた。

 

月並みな男のように、本当にスケベな女だなとか、下品な言葉を吐いたりしないヒラノさんの澄んだ心が、まっすぐな眼差しが、一生懸命な舌使いが、あたしを最高にいやらしくする。

 

臨界点を超えて、背筋をぷるぷるさせながら、快感をスパークさせた後、力を失っていく、くんなりしたあたしの体……。そこにヒラノさんが、自分自身を埋め込んだ。

 

ほどなく果てる。

 

そして、あたしの腰を、指の痕がつきそうなほど強く握ったまま、苦しそうに息を整えるヒラノさんの蜂蜜色の髪を、あたしは何度も自分の指に絡ませた。

 

 

 




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