フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第10話>
<第10話>
18時台のドーナツ屋さんは、若い子でいっぱいだ。
友だちの噂話だの、恋バナだので盛り上がっている女子高生4人組。キッズブランドの服で、大人っぽくおしゃれしたおませな女子小学生グループ。カウンター席で今にも唇が触れ合いそうなほどくっついてる大学生ぐらいのカップル……。
ハタチを超えているとはいえ、私だってまだまだ十分若いし、あの子たちよりものすごく大人になったわけでもない。
なのに、暗い気持ちで求人情報誌をめくりながら、苦いコーヒーをすすっていると、たちまち若い子にエネルギーを吸い取られ、この店を出る頃には、しわくちゃのおばあちゃんになっているような気がする。
ついそんな妄想をしてしまうほど、職探しというのは憂鬱だ。
就職活動が上手くいかなくてひねくれた聡の気持ちも、本当はわかり過ぎるぐらいわかっている。
楽しくも気持ちよくもない殺伐としたセックスを終えた後、疲れ切って裸のまま眠ってしまうと、掃除機をかける音で目覚めた。
かいがいしく掃除をし、昼食を作り(といってもインスタントラーメンに刻んだ葱とベーコンと生卵を落としただけだったけど、まぁ、聡にしては上出来)、溜まった洗濯物を片づける聡は、たしかに一見心を入れ替えたように見える。
でも私は知っている。
喧嘩の後の聡はいつだってこんな感じで、改心はまったく長続きしない。
3日坊主どころか1日と持たないんだから、呆れてしまう。
仕事探してくるからと、いつもより早めに家を出た私を笑顔で送り出した後、どうせまたゲームを始めて、非定型うつのゲーム中毒のヒモ男に逆戻りなんだ。
わかっていて、なんで聡を捨てられないんだろう。
聡しか私を好きになってくれた人がいないから?
他の人に愛される自信がないから……?
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