フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第31話>

2014-04-07 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,063 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Aimi フェイク・ラブ 連載小説


 

Rizu

 

<第31話>

 

「いい例えするよなぁ。バラにペンペン草か」

 

聡は感心した顔をするもんだから、余計に恥ずかしくて顔が上げられない。でもその後急に声が真面目になった。

 

「俺さ、今まで6人の女の子と付き合って来て、わかったんだけど。自分に自信がある女って、嫌だなって」

 

顔を上げると、優しい瞳と目が合って、この時初めて私は聡にドキリとした。

 

今までいくら好意をほのめかされても、デートをしても、心はいつもぴしっと構えていて、ドキリとする隙を持たなかった。バラの花の女の子と付き合える聡と、ぺんぺん草の私とじゃなくて、この時初めて私たちは対等になれた気がした。

 

「なんで? 自分に自信があるって、すごくいいことじゃない。私なんて自分に自信がなくて嫌になるから、自分に自信を持ってる子が立派に見えるし、羨ましい」

 

「それは女の考えだよな、男は違うんだよ。自分に自信を持ってる子は、好きになってもらって当たり前、可愛いって言ってもらって当たり前って感じで、そういうとこ正直ウザい。だいたい、自分に自信って言ったって、自信持ってるのは、見た目だけじゃん。『自分』じゃねーじゃん。そういうのって、すげぇ薄っぺらくない?

 

見た目なんて、どうせ歳とれば衰えていくんだし、そんなとこに自信持ってたら、老けて汚くなった時どうすんだよって話。慌てて若作りして、美魔女ってやつになんの? それもみっともねーよ」

 

聡の言うことは、たしかに正しいのかもしれないけれど、実際は、女は女である以上、どうしたって世間から人間としてでなく、女としての評価をされ、どんな場所でも見た目の可愛い子が得をして、ブスは損をする。

 

そんな残酷な現実の前で、聡の言う「薄っぺらい」自信は、決して無駄じゃない。

 

4年後の今ならそう思うけれど、その時の私は、聡の言葉に素直に頷いていた。

 

 

 




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