フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第33話>
【連載小説】フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第33話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第32話~』
私は、あの時たしかに聡が好きだった。
今はどうだろう?
あの頃のように、未来への希望をいっぱいに瞳に漲らせていた聡はもうどこにもいない。
就職と退職と再就職活動への失敗で、すっかり打ちのめされてしまった聡。
私が思っていたよりも、聡が思っていたよりも、聡の心はずっと弱かった。
『俺は、藍美がいないと生きていけない……』
これだって、私への愛からじゃなく、聡の弱さから出てきた言葉なんだ。
わかっているのに、その言葉は壊れた耳奥で、何度もリピート再生されるし、
哀れで情けない聡の姿は、瞳の裏にこびりついている。
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