フェイク・ラブ 第四章〜Iori〜<第7話>

2014-07-10 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,063 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Iori フェイク・ラブ 連載小説


 

JESSIE

 

<7回目>

 

デリ・スタイルの風俗店だと珍しくないが、ドリームガールには待機室がない。

 

新宿近辺に住んでる子は自宅待機、遠い子はドライバーさんの車内で待機。新宿まで電車で30分かかるあたしは、本来車待機になる。

 

だけど、ドリームガールに来る前はずっと待機室のあるお店で働いてたから、想像以上にキツい車待機に入店3日でネを上げた。

 

店長に泣きつくと、「それなら、新宿周辺のネットカフェや、ファーストフードで待機してていいよ」とのこと。融通の利く店だ。もっともカフェで待ってる間の費用を店が負担してくれるわけじゃないから、お茶を引くとその分マイナスになるのがイタい。

 

それでも、車が動いてる間は携帯をいじるぐらいしかすることがなく、歯磨きもできなければテレビも見れない。車内待機は想像以上にしんどいものだ。

 

今日は、21時45分に閉店後の雑務を終えると、店から歩いて3分、ドリームガールの事務所から歩いて5分のところにあるドーナツ屋へ入った。

 

カフェオレのおかわり自由が嬉しくて、待機にはよくここを使う。2階の窓際席がお気に入りポジションだ。こういう店には珍しく深夜2時まで営業しているのも嬉しいところ。大体、2時までには仕事つけてくれるし。

 

たぶん酔っ払いだろう、ギャーギャーはしゃいでいた若者のグループたちは24時を回った頃から帰り始めた。閑散とした店内には、ひとりで席に座り、携帯をいじったり本を読んだりする若い女の姿が目立ってくる。

 

おそらく、今この店に1人でいるほとんどの女の子が同業者。

 

壁際のテーブル席でじっと本に目を落としている人妻店っぽい30代後半ぐらいのあの人も、さっきからずっと電話してるあどけない顔の18〜19歳の子も、2つ隣の席に座ってる1月だってのに生足ショートパンツが寒々しい金髪ギャルも、きっとみんなあたしと同じく、カフェ待機の真っ最中だ。

 

風俗にもすごくいろいろあるけれど、どんな店で働いてるんだろう?

 

テーブル席のあの人はまず人妻店だし、若い子はロリっぽい顔なのによく見ると胸の谷間がくっきりしてるから、もしかしたら巨乳店かな? ギャルはわからない……。うーん、ごく普通のデリかな……?

 

 

 




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