フェイク・ラブ 第四章〜Iori〜<第24話>
<24回目>
もちろん、寂しさもある。ドリームガールで唯一できた親友で、風俗という仕事を通じて出会い、これからもずっと仲良くし続けたいって思った初めての女の子。
あたしもそれなりにこの業界長いから、風俗と昼間の仕事を行ったり来たりしたり、もうこの業界には二度と戻らないと言って店を辞めておいて、案の定「出戻り」してきた女の子を何人も見てきた。
ナンバーワンの奈々子はお金の面に加えて、あれだけ仕事を大事にしていた子だ、それを失うことにどう折り合いをつけるんだろう。
風俗の仕事は、どれだけプロ意識を持って頑張ったところで、それで得たスキルを次のステップに生かせない。
プロとして生きた誇り高い風俗嬢が引退後、ペニスを咥えたり体中舐めまわされたりすることなく、風俗嬢の知識やスキルを前向きに生かせる場があったらいいのに。
一度この世界に入った女が「普通」の世界に戻っていくことがどれだけ大変か、出戻りしてきた女の子たちの力ない笑顔にさんざん教えられた。
それでも、奈々子を応援したい。
もう3年以上会っていない彼の顔が頭の隅でチラつく。あたしは実らせることができなかった、お客さんとの恋。本当に好きな人との恋。奈々子には、叶えてほしい。
「西口に女の子迎えにいきまーす。3乗せになるんで、はるかさん、すいませんがもう少しそこで我慢していて下さい」
はい、とはるかさんが眠りかけていたのか、もごもご返事をする。ワゴンは夜の街を走り出す。あーあ、また迎え。
西口のロータリーでおはようございまーすと元気に乗り込んできたのは、真穂さんだった。
真穂さんというより真穂ちゃん、金髪にバッチリギャルメイクの元気なハタチ。
入店してまだ2週間経っていないけれど、この店には珍しく超フレンドリーに話しかけてくるので、すっかり仲良くなってしまっている。いや、仲良くさせられている、って感じ。
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