フェイク・ラブ 第四章〜Iori〜<第38話>

2014-08-10 20:00 配信 / 閲覧回数 : 1,038 / 提供 : 櫻井千姫 / タグ : Iori フェイク・ラブ 連載小説


 

JESSIE

 

<37回目>

 

「あぁだめ、もう我慢できない、ここで挿れていい?」

 

「だぁめ、つけてからじゃなきゃ……」

 

「HPには君、生OKって書いてあったよ」

 

「それはフェラだけ。本番はゴムつきでお願いしてるの、我慢して……」

 

何が野々花のためだ、何が健気な母親だ。

 

色目を使い、艶やかな声音を使って、全身で媚びを売ってATMよろしく男から金を引き出してるだけじゃないか!! こんな仕事に誇りもクソもない。本デリなんて言葉を濁してるだけで、実際はただの売春なんだから。

 

……ダメだ、今日はどうしても気持ちが荒む。生AFはNGにしてるくせに、ソープをたっぷり塗り付けた素股でにゅるにゅるし合ってるうちに、いつのまにか受け入れてしまってるし。

 

妊娠はピルを飲んでるから大丈夫。怖いのは病気だ。でもコンジロームで真っ赤なカリフラワーみたいなあそこになろうが、ヘルペスで目が腫れ上がろうが、エイズになって一巻の終わりを迎えようが、もうどうでもいい気がした。

 

いつもよりも大袈裟な声で喘いで雑念を吹き飛ばす。

 

近所に響くからと、バックのまま後ろから口を塞がれ、SMっぽいシチュエーションに興奮したのかお客さんの動きがにわかに激しくなる。

 

イけ、イけ、早くイッてしまえ。さっさと出すもの出して早くここから出て行ってくれ。

 

必死に念じながら、泣き出しそうになっていた。

 

野々花ごめん。こんな母親で。こんなことを毎日繰り返してしまうあたしで。

 

早漏のお蔭で浴室内での行為は思いのほか早く終わり、その後は改めてシャワーを浴びて服を着て、リビングで淹れてもらったコーヒーを飲みつつしゃべってただけ。

 

『俺、一回イッちゃうもうダメなんだよねー。この歳になるとさぁ』って苦笑いするお客さん。あたしのことはまずまず気に入ってくれたみたいだし、全体的には楽な仕事だった。

 

タイマーの電子音が時間を告げ、肩の荷が下りるような安堵と共に立ち上がる。

 

「じゃあ、時間来たので。今日はどうも、ありがとうございました」

 

 

 

 




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