フェイク・ラブ 第四章〜Iori〜<第7話>
【連載小説】フェイク・ラブ 第四章〜Iori〜<第7話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第6話~』
「あの、すいません、ちょっと」
青ざめた顔の莉緒が駆け寄ってくる。
莉緒が「これ見て下さい」とせかせかした手つきで、ワンピースを広げる。
昨日入ってきたばかりで、ベビーピンクの花柄が春らしいイチオシ商品の襟口に、赤い口紅がべったりついている。
「うっそー!! やられた……」
美和子があたしの代わりに言ってくれた。
真っ赤な汚れが恨めしくて、できることならその場にへなへな座り込みたかった。
ブラウスやワンビースなど、被り物の試着の時はお客様にフェイスカバーを使ってもらうのが大原則。
店員は試着の後、服を汚されていないか確認しなきゃいけない。誰かがその確認を怠ると、こんなことが起こる。
犯人捜しはあんまり気が進まないけれど、店長としての義務がある。
なるべく嫌な言い方にならないよう気を付けて聞いた。
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