フェイク・ラブ 最終章〜Rin〜<第26話>
<第26回目>
全然濡れてないので本当に痛いだけで、小さく呻き声が出る。真っ赤になったお尻をなおもしつこく叩きながら、客は言う。
「おめーのまんこ、真っ黒だぞ。ほんと、きったねーな。こんな汚いまんこつけて、よく生きてられるよな」
その汚いまんこに今入れてるのは誰だよ、文句言うなら入れるなよ。
「毎日毎日こんなことして、親に申し訳ないと思わないのか。マジ、最低だな」
最低はどっちだ。
だいたい親と呼べる人なんて、生まれてこのかた、いたことない。
「いつもさんざん、男の前で腰振ってるんだろう。セックスが大好きで大好きで仕方ないんだろう。だからこんなきったねー、スケベなまんこなんだろう」
あぁ、またこのパターンか。
こいつもこの世は淫乱なスケベ女だらけだって、自分の妄想の世界で生きてるんだ。あたしは金のために演技してるだけでお前みたいな垢臭いペニス、まったく欲しくないんだ、いっそぶち切ってやりたいわってハッキリ言ってやれたら楽なのに。
それを言ったらほんとに殺されかねないから、言わないだけ。
「ほら言え、自分の口で言え。スケベでごめんなさい、汚いまんこでごめんなさいって言え」
力任せに髪をぐいぐい引っ張るので、頭皮がちぎれそうになる。もう一言も発する気力すら残ってなかったけれど、ないものを無理やり振り絞って言うしかない。
「スケベでごめんなさい。汚いまんこでごめんなさい」
「もっと言え」
20回は繰り返させられた。
その台詞に興奮するのか、無理やり挿入されたペニスが、乾燥して擦り切れたあたしの中でむくむく膨らみ、やがて弾ける。どろどろ熱い液体が体の中心へ吸い込まれていく。ピルを飲んでいるので妊娠はしない。だけど性病は……。さっきのお客さんがあそこまで病気を怖がる気持ちも理解できる。
小学生からセックスをし、中学生からエンコーをしていたあたしはそもそも、体を売る行為を汚いとする意味がわからない。「普通」とか「一般」の感覚が完全に麻痺しているから。
でもたしかに、こんなクソみたいな男でもお金をもらってる以上はあそこを差し出し、言われるがままなんでもしてしまって、汚い汚いと繰り返し言ってるうちに本当に自分が世界中の汚れという汚れをすべて背負ってる気がしてくる。
汚い人間には、穏やかで幸せな恋をする権利なんてないのかもしれない。
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