ブーティー・ギャング・ストリッパーズ<第15話>
自分以外の男のモノを見たことがないわけではなかったが、ここまで近くでは初めてだった。
今まではせいぜい合宿先の大浴場でちらちらと気にする程度だった。誰々がでかいだの太いだの騒ぐ奴もいたが、柊太郎はあえて便乗しなかった。友情以上の感情を抱いていた友人の前では特に、冷静でいられなくなりそうだったからだ。
「ほら、どうした」
挑発するように片眉だけ上げて、柾が笑う。人を陥れようとする「悪い」笑顔だ、と思った。試合で敵を欺くときの友人(あいつ)も、こんな顔をした。そしてそのときも、その顔にぞくりとした。
あいつは地元の大学に進学した。また会うことはあるだろうが、思いを伝えることは絶対にない。
もしそんなことをしたら、これまでの思い出が何かまったく別のものに変質してしまうだろう。自分だけだったらいいが、あいつの思い出もきっと同様に変わる。それはどうしてもいやだった。あの日々はきれいで楽しげなまま、覗き込むことはできても二度と触れることはできない透明な宝箱の中に、静かにしまっておきたかった。
「できないならこれで終わりだな。新人候補の話はなしだ」
柾が言い放つ。
柊太郎は唐突に、あれは恋だったと認めた。始まることもなく終わった恋だった。始めることなく諦めた。
だが、今度は、せめて始めることぐらいはできるかもしれない。
始められるチャンスが今、目の前にある。
短パンを元に戻そうとする柾の手を、柊太郎は止めた。その顔を仰いで、「やります」と呻くように訴える。
柾の手を握り、柊太郎は先端に口を近づけた。そのあたりがもっとも敏感なことは、自分の体もそうだからよくわかっている。感触を確認するように唇を数回当てた後、思いきって舌先を出してちろちろと舐めた。
「……っは」
柾が感じたとも、くすぐったくて笑ったともつかない声を上げる。
その声に背中を押されたような気になって、柊太郎はもう少し深くそれを口に入れた。
形が口腔の粘膜に伝わってくる。
昨日薄い布ごしに目にしただけで混乱したそれを、たった二十四時間程度しか経っていない今、口に含んでいるのが不思議だった。
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