泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第15話>
<第15話>
人に話すと、娘が風俗で働いてることを容認していて、その娘が稼いだお金を持っていくなんてひどい親だとか言われちゃうんだけど、そんなこと言う人は親孝行の精神が欠けているに違いない。両親揃った普通の家庭で何の苦労もなく育つと、そうなっちゃうんだろうか。
うちはずっと母子家庭で、お母さんがたった一人でわたしを育ててくれたから、自分も働ける年齢になった今こそ、その恩を返したいと思う。大きくなった子どもが親を支えるのは、当然のことじゃないの?
「ほんと、ありがとー。また必要になるかもだけど、そん時はよろしく」
「もちろん! 遠慮しないで言ってね」
51才の彼氏からのプレゼントだろうか。
ルビーのリングがキラキラしてる指が、渡した封筒の中のお金を素早く数え、クラッチバッグにしまう。お金を受け取った瞬間、必要なものを無事手にできた安心感からか、未だにハリを保っている白い頬から力が抜けた。
「あんたはどうなの? ミュージシャン志望の彼とは、順調?」
「うん、すごく愛されてるし、大切にしてもらってる」
「おお、いいねー。それで、今の店はどんな感じ? 稼げてる?」
「稼げてるよー! だんだん指名も増えてきたし。やっとナンバースリーになったんだ」
「すごいじゃん、おめでとう! さすが、あたしの娘だわー」
ママに褒められるとちょっと照れくさくて、とっても嬉しい。
ママは5年前から堀之内のお店にいて、ずっとナンバーワンなんだそうだ。わたしもママみたいに、立派なソープ嬢になりたいと思う。
人気記事
JESSIEの最新NEWSはFacebookページが便利です。JESSIEのFacebookページでは、最新記事やイベントのお知らせなど、JESSIEをもっと楽しめる情報を毎日配信しています。