泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第16話>
<第16話>
仕事のこと、恋愛のこと。まるで女友だちとするような会話がぽんぽん弾んで、あっという間に時間は過ぎていった。この後わたしは吉原のローズガーデンに、ママは堀之内に出勤。
ファミレスを出て、駅のロータリーでお別れ。
「じゃあ、社長さんと上手くいったら報告して!」
「もちろん。上手くいったら、あんたにもお父さんができるんだね」
「いいなー。お父さんかぁ」
わたしが知る限り、ママは3回結婚して3回離婚してる。つまりこれまで3人のお父さんがいたんだけれど、未だに「お父さん」という響きは少しくすぐったい。
中学生の頃、本当のお父さんがどんな人だったのかって聞いた時は、「ぶっちゃけー、わかんないんだよねぇ。客か、そん時付き合ってた人たちの中のどれかに決まってるんだけどさー」なんて答えが返ってきて、少なからずがっかりしてしまった。
この先本当のお父さんに会いたくなっても、どこへ行ったらいいのかもわからないんだから。
でも、お父さんはきっとこれから、できるんだ。
ママはまだ30代。今から幸せになれる可能性は十分にある。
わたしが渡すお金でその幸せを手助けできるなら、喜んで出す。ママの幸せのためのお金なら、惜しまない。
颯太くんのためだったり、ママのためだったり。
いつも自分のためじゃなくて、誰かのために生きて、誰かのためにお金を使いたいと思う。誰かに良いことができて初めて、自分の存在が認められたような、自分が生きている証が掴める気がする。
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