泡のように消えていく…第三章~Amane~<第17話>
<第17話>
幼いあたしが暴力から逃れる方法はただひとつ、家に帰らないことだった。
ゲームセンターの端っこのベンチに何時間も腰かけたり、夜の建設現場に潜り込んで土管の中で夜明かししたこともある。
通り過ぎる大人たちはみんなあたしに無関心で、夜中に外にいる子どもを見ても一瞬眉をひそめるだけで、警察に連れて行ったりはしなかった。あたしに関心を持ってくれたのは、ゲームセンターをたむろしたり夜の建設現場で『集会』と称して煙草を吸っていた、中学生や高校生たちだった。
不良と呼ばれる彼らに声をかけられるまま一緒に遊び、10才で煙草を覚え、11才で万引きを覚え、12才でセックスを覚え、13才でドラッグを覚えた。
ろくに学校にも行かせてもらえなかったあたしにとって彼らは生まれて初めてできた友だちだったし、彼らにつきまとっていれば地獄のような家に帰らずに済んだ。まっとうな大人たちからは社会のクズ扱いされようが、法に反したことをしていようが、彼らのもとがこの世で唯一の安心できる場所だった。
18才未満の頃は援助交際や、ティーンエイジャーを雇ってくれる違法の風俗とかキャバクラで働き、18才になって堂々と体を売れるようになってからは、SMクラブのM女になった。
その頃にはどっぷりエスにハマっていたあたしにはエスを買うため多額の資金が必要だったし、M女として受ける責め苦はエスをキメた状態なら快感に変わる。
どんなにキモいオヤジにどんなにひどいことをされたって、気持ち良かった。人工的に作り出される快感は尋常ではなく、エスとセックスにセットで依存していった。たっぷりお金をもらえて気持ち良くなれて、これ以上いい仕事はないって、その頃は本気で思ってたのだ。
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