Yumika〜風俗嬢の恋 vol.2〜<第9話>
<第9話>
統哉の愛情をひしひし感じるのは、こういう時だ。
男のくせに家事を完璧にこなし、連絡だってマメにする。自分だけじゃなくて他の女の子にも似たようなことをやってるとわかってて、愛されてるんだなぁ、尽くされてるんだなぁ、とつい思ってしまう。統哉にとってはあたしにご飯を作るのも、客の部屋で夜を過ごしてご飯を作ってあげるのも、同じことなのかもしれないのに。
ホストなんだから、女癖が悪いのはしょうがない。
付き合い始めた時、ちゃんと覚悟したつもりだった。つもりだったけど、付き合って八ヶ月で、浮気されること既に六回。
いつも枕営業だって言うし、それはたぶん本当なんだろうが、だからって許せるもんでもない。
いくらホストでも、仕事でも、統哉が笑顔で他の女の子を抱き寄せたりキスしたりましてやエッチしたりなんて、平気でいれるわけがない。平気でいれたらそれはもう、好きじゃないってことなんだ。好きっていうのはつまり、独占欲なんだから。
ふた切れ目のかぼちゃの煮物に箸をつけたところで、携帯が鳴る。
バッグに入れたまんまで、底のほうに押し込んじゃってるから取り出しづらい。しかもディスプレイに表示されてるのは非通知設定。怪しい。怪しすぎる。出ないでいたら一分近くも鳴り続け、切れた。ほっとしてかぼちゃを食べようとしたら、また鳴り出す。気持ち悪くなってボタン操作して電話を切ったら、しばらくしてまたまた鳴り出す。
切る。鳴る。切る。鳴る。
そんなことを七回も繰り返した末、あたしはようやく電話に出る覚悟を決めた。
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