Kiyomi〜風俗嬢の恋 vol.4〜<第2話>
<第2話>
「清美なら大丈夫だ、胸があるし、お前がずっと『痩せなきゃ、痩せなきゃ』って気にしてるそのムチムチした身体は、男から見るとすごい魅力的だよ。絶対、向こうでも稼げる」
「嫌だよ、ソープなんて。だって、本番あるんでしょ?」
「あるよ。でも、清美、SMは無理だろ?」
うちの系列にはSMクラブもある。六本木で営業しているなかなか老舗の有名店で、AVやショーなんかに出演している女の子も多いらしい。
「Mは無理だけど、女王様なら出来るよ。男を叩いたり蹴ったり縛ったり、踏んづけたりしてればいいんでしょ?」
「女王様はそんなに甘いもんじゃない。SMクラブって、本当にいろいろな客が来るんだよ。男たちの変態的な性癖を受け止めるだけの度量がないと。第一、頭の悪い清美には無理だ」
頭が悪いとここまではっきり言われたら、逆に腹も立たない。素直に認める。
あたしは頭が悪い。ギリギリの成績でやっと高校を出ただけで、勉強なんてろくにしたことなかった。
頭が悪くて、気も利かなくて、見た目だって胸だけが取り柄の、典型的な裏の世界でしか生きていけない女だ。
「うちみたいにずっと受身で、客の言うことをただ聞いていればいいのと違って、女王様は自分の頭でストーリーを組み立て、男のしたいことを察しつつ、適度に裏切りながらプレイを作っていかなきゃいけない。清美の想像よりずっとハードだし、誰でも出来る仕事じゃないんだ」
「……」
「それに女の子はみんな、M女からだよ」
「入店早々、このメスブタって叩かれるってこと?」
「今どきそんな言葉責めする人いないけどね」
富樫さんがフッと笑った。バカにしたようなその笑い方が、勘に触った。
あたしの気持ちがわからないわけじゃないだろうに、なんでそんな顔でクビを宣告出来るんだろう。
「どっちも最悪なんだけど。本番も叩かれるのも」
「プライドの高い清美にM女は無理だろうね。だからソープに行けって言ってるんだ」
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