Kiyomi〜風俗嬢の恋 vol.4〜<第6話>
<第6話>
2人っきりになると、昨日の今日だから、さすがに気まずい。
そんなあたしの気持ちがわからないわけじゃないだろうに、いつもと同じだるそうな顔の富樫さんが、憎たらしい。
昨日のクビ宣告もそれであたしがあんなに傷ついたことも、この人はなんとも思ってないのだった。
「ねぇ、あたしの今月の指名って何本?」
そう聞くと、富樫さんはちょっと驚いたように顔を上げて、カウンターまで行って調べてきてくれた。
8月ももう終わりかけてるのに、あたしの指名本数はナンバーワンのりさに大きく及ばなかった。ナンバーワンとナンバーツー、その差は歴然としていて、あまりにもはっきりした現実にあたしは打ちのめされた。
富樫さんはまた、哀れむような目であたしを見ていた。
「わかっただろ? うちじゃ、もう、清美は絶対ナンバーワンになれないんだよ。世代交代だ、世代交代。ソープなら稼げるから。うちの系列店はソープでもちょっと大人の店をコンセプトに作ってるからね。今、最高で35歳の人もいるし」
あたしは黙って富樫さんの言葉を聞いていた。世代交代、という単語が深く鼓膜を突き刺した。
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